最終日、MOON STAGEのトップを飾るのは、te'。フロアを埋め尽くしたおびただしい数のオーディエンスから巻き上がる、怒号のような歓声に迎えられて登場した4人。いつものようにtachibana（Dr）、matsuda（B）、kono（G）、hiro（G）と横一列に並んだ布陣から、「ぶっ飛ばして行くぞ！ ジャパン！」というhiroの声を合図に“人間は自由なものとして生まれ、至る所で『鎖』に繋がれてゆく。”からライヴスタート！ 途端にフロアからものすごい大ハンドクラップが巻き起こり、MOON STAGEは初っ端からクライマックスの盛り上がりを見せる。ノイズとアルペジオとが激しく交錯しながら雪崩のようにフロアを強襲するギター、重厚でありつつメロウなベース、ものすごい手数の多さで膨大なエネルギーを放射するドラム。鉄壁のアンサンブルが、圧巻の牽引力をもってMOON STAGEを歓喜に包んでいく。
「素敵な大晦日のトップバッターをやらせていただきます。te'と言います。最初に言っておきますが、いつまで経っても歌は出てきませんからね」とhiroが会場を笑わせると、10月にリリースした5thアルバム『ゆえに、密度の幻想は綻び、蹌踉めく世界は明日を『忘却』す。』からのナンバーを炸裂させ、さらにMOON STAGEの興奮を加速させる。一旦クールダウンして、再びド派手に火炎放射器のような熱気をぶちまけていく展開に、フロアの至るところで拳が掲げられ、歓声が上がる。インストゥルメンタル・バンドであるが、その怒濤のライヴ・パフォーマンスはカオティックな轟音の中にある自由や開放感、享楽を誰よりも雄弁に伝えてくる。割れるようなハンドクラップに迎えられた“言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ。”を終えると、「みなさん、良いお年を、ジャパン最高！」（hiro）と叫び、ガッツポーズをしながらステージを去った4人。MOON STAGEからはいつまでも大きな歓声と温かい拍手が送られていた。（大山貴弘）
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