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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



2012年2月にレミオロメンの活動休止を発表し、ほぼ同時期にソロ・アーティストとしての本格的なキャリアに踏み出した藤巻亮太が、大晦日のGALAXY STAGEに立つ。その姿を見せるなり、「イエー幕張―! 盛り上がってるかーい!?」と張りのある声でオーディエンスに呼び掛ける。そして、強力な4つ打ちのロック・サウンドと共に“Beautiful day”を披露する。より強いコミュニケーション願望、よりプライヴェートな剥き出しの表現衝動、それらが藤巻のロック・アーティストとしての側面を覚醒させ、多くの人々に伝えられたのがこの2012年だったと言える。

ただ、あの極めて個性的な藤巻節ソング・ライティングとキャッチーなバランス感覚は、失われるどころか更に冴え渡り、“ベテルギウス”の壮大なスケール感に比例して、その歌の説得力は増していく。「2012年、みんなもいろんなことがあったと思うけど、最後に音楽を楽しみたいって集まって、僕たちも音楽をやりたいって集まって、こうして音楽で繋がることが出来るのは最高だなって思います。個人的にはソロ活動を始めて、これからも新しい、ワクワクすることを探していきたいと思います」と語り、アルバムのタイトル曲“オオカミ青年”が、そしてシングル曲“月食”が披露される頃には、照明の光量も少なく藤巻とバンドの姿はほとんど闇に沈んでしまっているのに、歌と音の情景喚起力によって、目の前には大きな視界が広がる。一際強い陽性のヴァイブを湛えている“キャッチ&ボール”は、まさに《遠い昔のキャッチボールは/相手の胸に投げるんだったな》という歌詞そのままに胸元に飛び込んでくる。そして、“ハロー流星群”とGALAXY STAGE一面のオーディエンスを弾けさせるナンバーが続き、「2013年が、みんなにとって今年の何倍も何倍も良い年になるように、という思いを込めて、最後の曲を歌います。いろんなものが指先から零れ落ちてしまうかも知れないけど、大事なものをギュッと胸に抱きしめていこう、という曲です」と告げ、ライヴでは披露されているもののいまだ音源化されていない、真っ直ぐなメッセージに満ち溢れた美曲“指先”が歌われたのだった。(小池宏和)