真紅のライトを浴びて妖艶なムードのなか幕を開けたのは、赤裸々に“女の本音”を綴った表現で注目を集める新鋭・さめざめだ。登場するなり、セクシーなドレスに身を包んだボーカル・笛田さおりは《♪ふざけんな、あの女!》と叫び、どす黒いフィーリングをまき散らした“あの女“でスタート。激しい身振りで演奏する楽器隊とは対照的に、ほとんど身動きもせず、マイクスタンドに噛み付くように歌う笛田。張り詰めた緊迫感に誰もが釘付けとなる中、続く“ズボンのチャック”でも、彼女は朗々と18禁の濡れ場を活写。露悪的ともいえる表現だが、その殺傷力と引力は破格で、ある部分では妙な爽快感すら覚えてしまうのだから、不思議だ。
中盤のアッパーな“非公式彼氏(シークレットダーリン)”では、軽快なビートに合わせて快く飛び跳ねるファンの姿も見られ(最後の《殺す覚悟であたしを捨ててね》の捨て文句には戦慄!)、徐々に、しかし確実にオーディエンスは淫靡にして愉悦的なさめざめワールドへと誘われていったのだった。終盤は一転、笛田もいくぶん楽しげに「あと3時間で2013年が来てしまいます。清々しい気持ちで2013年に一緒に行きましょう!」と呼びかけ、「最後は、さめざめにとって、今いちばん大切な曲を――」と語って、このプロジェクト始動のきっかけとなった重要曲“愛とか夢とか恋とかSEXとか”を丁寧に、しかし溢れんばかりの激情を込めて熱唱。短時間ながら表現者としての類まれなる業を見せたさめざめに、大きな喝采が沸いた。(奥村明裕)
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