COUNTDOWN JAPAN 12/13・COSMO STAGEのカウントダウンはロック界の奇行師:アルカラ! サウンドチェックで田原和憲/下上貴弘/疋田武史とともにステージに姿を見せた稲村太佑、「(本番まで)あと何分ある?」とオーディエンスに呼びかけ「いっぺんに言うたらわけわからんやろ! アホか!」とSっぷりを振り撒いて笑いを巻き起こす。「いっぺん出てきたらハケない主義なので、あと16分待ちぼうけしてます!」と言いつつ、リハーサルがてら“ミックスジュース”で満員のフロアを揺らしてみせる。「年またぎをやらしてもらうのは、これが初めてです!」という稲村の言葉が、観客の期待感をいやが上にも煽っていく。そして……。
23:45、「こんなにいっぱいの人と2013年を迎えられることを幸せに思ってます!」という稲村のコールからライブはスタート! カオティックな衝動逆噴射的アンサンブルと、濃密な妖気に満ちた稲村のハイトーン・ヴォーカルが“踊れやフリーダ”で紅蓮の狂騒天国を生み出し、“チクショー”の爆走ビートがCOSMO STAGE丸ごと焦燥のダンスフロアへと塗り替えていく。ステージのヴィジョンに表示される時間が10分を切った頃、「ついにこの時間がやってきたぜ! 今日は『ゆく年来る年バージョン』でお聴きください。“カウントダウンを科学する”!」と叫び上げて“キャッチーを科学する”へと突入していく。
2012年が残り5分を切る。「俺、めっちゃ緊張してきた!(笑)。みんな助けてや!」と言いつつ、「2012年は大変なことがありました! CD出たこと? ううん。ワンマン・ツアーやったこと? ううん。なんと、うちのギターの実家に、オレオレ詐欺の電話がかかってきました!」といったネタも含めてがんがんCOSMO STAGEをアゲていく稲村。「そして、世紀の一瞬がきたぜ! 心の準備はOKか!」と残り20秒のカウントダウンを始め――「0!」と同時に銀テープが舞い風船が乱れ飛ぶ! 目も眩むほどの歓喜を続く“癇癪玉のお宮ちゃん”の熱狂へ直結しつつ、この日一発目に登場したFLiPをゲストに呼び込んで、どこまでも会場をヒート・アップさせてみせる。
さらに“夢見る少女でいたい”“半径30cmの中を知らない”を連射した後、さっきまでとは打って変わって神妙な口調で話し出す稲村。「東京のすごいアーティストに負けたくないから、この2年半、走り続けてたの! そしたら、キンモクセイの匂いとか、日常にある小さな感動に気づくアンテナが鈍ってたんですよ。もっと日本ならではの侘びとか寂びとか、そういうものを伝えられるアーティストになっていきたいと思ってますんで」――そんな「2013年の所信表明」的MCに、熱い拍手が湧き起こる。「ガラにもなく真面目なこと言ったんで、そんな自分に……」と照れ臭そうに言いながら叩きつけたのは“やいやいゆいな”。最後は“ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト”の絶唱と鋭利なサウンドで大団円! 最高の新年幕開けを飾ってくれた。ありがとうアルカラ!(高橋智樹)
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