2月22日・SHIBUYA AXワンマン公演『白兵戦』をもって活動休止することを発表した女王蜂の姿を何としても目撃したい――というオーディエンスで埋め尽くされたここCOSMO STAGEには、もうすぐ新年カウントダウン！といった祝祭感とはまるで異なる緊迫感が漂っている。やしちゃん／ルリちゃん＋サポート・ギター（なんと東京事変の浮雲こと長岡亮介）／キーボードの4人の叩き出す極太ブルース・アンサンブルに乗って、アヴちゃんがしゃなりしゃなりと登場、“鬼百合”の圧巻のヴォーカリゼーションでもってたちまちCOSMO STAGE丸ごとその妖気の虜にしてみせる。「どうもこんばんは」というアヴちゃんの言葉を挟んで、“人魚姫”の爆走ビートでがっつりフロアを揺さぶっていく……狂気と艶やかさ、背徳と気高さをギリギリのバランスで体現するアヴちゃんの佇まいが、どこまでもスリリングでミステリアスな狂騒空間を描き出していく。
「ジャパ～ン！ もっといけないことしようや！」と鈴を転がすような声で語るアヴちゃん。「叫んで！」という呼びかけに、オーディエンスから「うおおおっ！」と沸き上がる怒号のような歓声！ その声を「ええ子らやな！」と満足げに聞いたアヴちゃん。そして、なんと東京事変の楽曲“OSCA”に驚愕のヘヴィネスを内包させて炸裂させた後、暗黒のハード・ダンス・ロックンロール“デスコ”へ！ 扇子振り回しダンスを繰り広げながら歌うアヴちゃんに合わせて、COSMO STAGEいっぱいのオーディエンスが力いっぱい跳び、拳を掲げ、踊り回る……「ありがとう！ よいお年を！」とステージを後にしたアヴちゃんをはじめメンバーから、この日は休止についての話は何もなかった。ただ、己の生き様を封じ込めた爆発的な歌とサウンドだけを堪能してほしい――そんな潔いアティテュードがかえって、『白兵戦』までの時間の短さと寂しさを思い起こさせるし、できるだけ早く僕らの前に戻ってきてほしい！という気持ちが抑え難く沸き上がってくる。さあ、いよいよ2012年もあと1時間を切った。カウントダウンの瞬間が、すぐそこまで迫っている！（高橋智樹）
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