この2012年に、札幌から彗星の如く現れた笹木ヘンドリクスがオン・ステージ(アルバム『BCGホーリーエイド』は11/21にリリース)! サウンド・チェックではちらっとジミ・ヘンドリックス“パープル・ヘイズ”のリフを響かせたりもしていたが、いざステージ本番となると、前口上代わりとばかりに高い技量に支えられたラップで煽り立てる。そして、5ピースのバンドが瞬く間に集まったオーディエンスのハートへとアクセスしてしまう“エビバデヘンドリクス”、更にはガッチリとしたパンク・サウンドと笹木の歌声が併走する“テテテテー”と、キーボードの幡宮ヘンドリクスが風船を膨らませて飛ばしたりもしながら、賑々しく思い切りの良いロック・ナンバーを立て続けに放ってゆくのだった。
忌野清志郎と仲井戸“CHABO”麗市のふたりに捧げる、とプレイされた“かたじけないぜ”では、ブルージーなグルーヴでずかずかと突き進みながら楽々とオーディエンスの一斉ジャンプをリードしてしまったりもする。「これ、(COUNTDOWN JAPAN)05/06のときの帽子です。その7年前は皆さんと同じ、ただのパブリック・エネミーだったんですが、このステージに立つことが出来ました! やれば出来るんだー!」と、MCと楽曲の間にも温度差なく興奮気味の笹木は、しかし正しくロックスターの志を継承した、華のあるフロントマンなのである。“ディストニア”から“キャラメルとサイダー”の、ロックの未来に繋がっていると思わせてやまない斬新なグルーヴに驚かされたかと思えば、「ギターロックは最高! 僕は大好き。次もそんな曲」と無邪気に言い放ち、“yeah-yeah”では破綻スレスレの熱狂プレイに到達してしまう。
「信じてやってると、いいことあるんだなって思いました」と改めてCOUNTDOWN JAPAN 05/06のキャップを被り、「2011年は大変だったし、2012年もいろんなことあったけど、2013年はいい年になると思います。僕はそう信じてます」と力強く語る笹木。ラストは、このタイトルにしてこのドでかい感涙メロ、という“お久しブリトニー”で大喝采の中、演奏をフィニッシュした。未来を選ぶ。信じて決める。そんな若く自由なロックスターが、そこにはいた。(小池宏和)
笹木ヘンドリクス のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ