MOON STAGEも残すところあと2組……という寂寞感を、「OverTheDogsはじまるよー!」とメガホン越しに呼びかける恒吉豊のハイトーン・ヴォイスがきれいさっぱり拭い去っていく。東京・福生発:オバ犬ことOverTheDogs、サポートギター&ドラムを擁した6人編成で、今年もCOUNTDOWN JAPANに登場! 「新年あけましておめでとう!」という恒吉のコールとともに、MOON STAGEの空気を熱く爽快に震わせる“マインストール”のピアノ・サウンドが響き渡り、《将来は君の思い通りだよ/最高の想像を信じればいい》という眩しいフレーズにリアルのきらめきを与えてみせる恒吉の歌声が、深夜の幕張メッセに無上の開放感を生み出していく。さらに、ソリッドな4つ打ちビート&ファンタジックなアンサンブルとともにポジティブもネガティブも全部乗っけて輝かせてみせる“どこぞの果て”がオーディエンス丸ごと抱き締めるように強く優しく広がり、メガホンを手にして恒吉が挑発的に叫び上げるロックンロール・ナンバー“つきもの”が、熱いジャンプと歓声を巻き起こしていく。
「2時45分? この時間に盛り上がってるみなさん、本当に頭おかしいと思います!(笑)」と、貪欲に音楽を楽しむ観客に最大級の賛辞を贈ったところで、星英二郎のオルガンが至上の加速感を描き出す“愛”、そこからギター×2の切迫感が狂おしく響く“なりみみ”へ。僕らが真に抱くべき希望だけを迷いも衒いもなく掴んでポップとロックの真ん中へぶん投げるような彼らの表現の真価が、まさに今この場所に結晶している。「こんなにたくさん集まってくれて嬉しいです。これ、1日の田舎のスーパーの来店数より多いよ!(笑)」と恒吉。「2012年、嫌なことばっかり目に付くけど、いいこともいっぱいあった気がして。今年は去年より1個でもいいことが起こる2013年にしませんか! 変えるのは政治家じゃなくて俺たちだ!」という言葉とともに披露したラスト・ナンバーは名バラード“プレゼントの降る街”。美しいハーモニーが、新しい年の始まりと自らの「これから」を祝うように心地好く響いた。そして、いよいよMOON STAGEもグランド・フィナーレへ!(高橋智樹)
OverTheDogs のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ