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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



“Lolita”を1曲目に、ロックンロールが持つロマンや、ロックンロールへの憧れをバンド・サウンドいっぱいに鳴らしながらライヴをスタートさせた、ドレスコーズ。黒っぽい衣装に長い髪、スタンドマイクを握り締めて熱唱する志磨遼平(Vo)をはじめとする4人の佇まいは、ここに至るまでのキャリアのせいだけではない、何か特別な風格を感じさせる。

“SUPER ENFANT TERRIBLE”と“レモンツリー”と続けて演奏すると、「こんばんは!僕らがドレスコーズ、覚えておいて。ここから幕張、スピード上げて行くよ。付いておいで!」と志磨。シャッフル・ビートの上に妖艶にがなるヴォーカルを混ぜ合わせた“Automatic Punk”では、丸山康太(G)のギターもうなりを上げて、ドロリと濃厚なムード。志磨がマイクスタンドを叩きつけるアクションと共に、そのセッションは更にスリリングに。けたたましいビート、ギラギラとした照明がオーディエンスを刺激する。

「去年の今頃は小さいライヴハウスで初めてドレスコーズって名前で人の前に立ったの。1年経って、もう遠くの方の人が、見えないよ~すごいね!」と会場を見渡す志磨。「あのさ、今年色々あったでしょ? 今年あったいいこと、全部思い出してみて? あんなことこんなこと、そう、それに、この曲を捧げます。これは悲しい歌じゃないよっていう曲です」と、“(This Is Not A)Sad Song”へ。バンドというものが持つ夢や魔法を体現してみせるような彼ら4人の、チャーミングなグルーヴを持つサウンドが、そして志磨の歌が、強く心に響いた。

そして「バイバイ2012!」という言葉で“ベルエポックマン”へ。ガレージ・パンク調のエネルギッシュなサウンドの中で志磨が時に気だるく、時に力強く歌う。長い右手を大きく左右に振れば、オーディエンスが大きな拍手で応えた。そして「これが最後のとどめだー!」と鳴らされたのは彼らの始まりの1曲でもある“Trash”。暗い夜空に光るひとつの星みたいにこの曲が、今年の終わりを小さく確かな光で照らしてくれた。《派手にとどめをさしてくれ!》と志磨が叫んで、サウンドは更に激しさを増す。ロックンロールは何て美しいんだろう。今年も残りわずか数時間となった中、ドレスコーズから素敵なプレゼントをもらったようなステージだった。(上野三樹)