SEの“All Tomorrow's Parties”が鳴り響くと、フロアからは大歓声が巻き起こる。ステージに4人が登場しただけで、COSMO STAGEの空気感を一変させてしまったドレスコーズ。1曲目に披露したのは、11月にリリースしたばかりのニュー・アルバム『バンド・デシネ』の冒頭曲“ゴッホ”だ。艶っぽさを持ったエモーショナルなロックに、オーディエンスからは大きなハンドクラップが巻き起こった。ステージ上で唯一無比の存在感を見せる志磨遼平(Vo)の歌、山中治雄(B)と菅大智(Dr)による骨太なビート、そして丸山康太(G)のギラギラのギターが、フロアの興奮をどんどん増幅させる。
「こんばんは、幕張! COUNTDOWN JAPAN、楽しんでるかい? 今年も、もう終わるよ。あはは! いろんなことあったかい? 僕らもいろいろあったよ。今年あったことをいろいろ思い出しながら、次の曲を聴いてよ。楽しいこととか、悲しいことと、すべてはまるで映画のように!」と志磨が語って歌ったのは、“シネマ・シネマ・シネマ”。集まったオーディエンス一人ひとりのストーリーに寄り添いながら、ドレスコーズの描くロックンロールがキラキラとした未来を描き出していく。
ステージからオーディエンスを指差しながら、「僕そっくりな、クズ! クズ! クズ! 幕張にいる、5万人の、僕そっくりなクズ!」と志磨が叫び、“Trash”へ突入する。この死にぞこない歌から始まったのがドレスコーズの歴史だ。切なさと、激しさと、投げやりなユーモアが、COSMO STAGEを熱く染めていく。ステージ上でふらふらしながら熱唱する志磨は、最後に「クズでごめんよ~!」と絶叫。フロアは大きなハンドクラップでその勇姿に応える。
ラストはアルバム『バンド・デシネ』のクライマックスを飾る“バンド・デシネ”。ステージで躍動する4人の風格がなんともたくましい。全身全霊で孤独のロックンロールをド派手に奏で、COSMO STAGEに華やかな熱狂を呼んだ、濃厚で耽美なステージだった。(大山貴弘)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。