サウンドチェック時に早くも“ブラッディ・マリー、気をつけろ!”で集まったオーディエンスの賑々しい歌声をさらってしまった髭ちゃん。総勢7人編成でいきなりフルスロットルの本番は、“ロックンロールと五人の囚人”でスタートだ。続いて佐藤"コテイスイ"康一(Per/Dr)が拡声器でアジテーションを飛ばしつつ、トリプル・ギターが荒れ狂う“溺れる猿が藁をもつかむ”。今年リリースした目下の最新アルバム『QUEENS, DANKE SCHÖN PAPA!』からは“ボーナス・トラック”が、須藤寿(Vo・G)のクリスピーなヴォーカルで放たれ、「サンキュー! 愛してまーす!」と早くも髭ちゃんならではのムードがGALAXY STAGEを包む。
「2013年、最高だったね! 2014年が僕たちにとっていい年になるように、みんなにとってもいい年になるように、いつもそんなふうに思ってます! しかもゲーヒー、今日が現行7人でのラスト・ライヴです! アイゴン!!」(須藤)「ほんと、ありがとうございました。僕のこと嫌いになっても髭のこと嫌いにならないでくださいとか、言いたいとこなんだけど。言ってるか。でも来年も、髭共々、よろしくお願いします!」(會田"アイゴン"茂一・G)。なんだろう、寂しいは寂しいけれど、髭というバンドの纏う磁力が、過剰な感傷を寄せ付けないところがある。
美しい轟音というものの多様性を“ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク2”から“ハートのキング”で描き出してゆくと、先日のライヴでチャックが全開だったと笑いを誘う須藤。「これだけはやるなよって言われると、同じことを2回続けてやっちゃうことあるでしょ? それだけは避けようと思って、今日はチャックが無い、一番カッコいいやつを持ってきました!」と語って、陽気に“それではみなさん良い旅を!”を放つ。そしてオーディエンスが跳ね上がりながら声を上げる“ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク”では、川崎"フィリポ"裕利(Dr・Per)がフラッグを振り回し、最後も“テキーラ!テキーラ!”で目一杯賑々しくフィニッシュして見せる。いつでもチャーミングで愉快で、いつでもちょっと切ない髭ちゃん。だからこそ、それぞれの旅立ちの日には、こんな髭ちゃんらしいライヴこそが相応しい。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。