いよいよ「COUNTDOWN JAPAN 13/14」1日目のヘッドライナー=くるりの登場! メンバー本人たちによるサウンド・チェックの段階から“コンバット・ダンス”をプレイ、魅惑のアンサンブルでEARTH STAGEのオーディエンスを酔わせていたくるり。「くるりと申します。よろしくお願いします!」という軽快な岸田繁(Vo・G)の挨拶から、高田漣のペダル・スティールを擁したスウィンギンなロックンロール・アレンジの“トレイン・ロック・フェスティバル”でライヴはスタート。さらに、ファンファン(Tp・Key・Vo)のトランペットが豊潤な多幸感を描き出す“ブレーメン”、BOBO&高田漣とともに5人一丸の濃密なうねりを描き出してみせた“Morning Paper”へ……と1曲また1曲と進むごとに、音の森の奥底へ踏み込んでいくようなミステリアスな快楽と、同時に音楽のマジックの核心へと近づいていくような晴れやかな高揚感とが、身体の隅々から湧き上がってくるのがわかる。
「こんばんは、くるりです! 2013年、自分たちもいろいろあったんですけど、みなさんのおかげでデビュー15周年を迎えることができました! そのめでたい年にも、メンバーが減ったりしたんですけど……」と朴訥とした口調で語るのは佐藤征史(B・Vo)。ここでもう1人のサポート・ギター=山本幹宗を迎えて、CMでもお馴染みの穏やかな名曲“Loveless”を披露。祝祭感あふれる1日を丸ごと包み込むような雄大なスケール感と包容力に満ちたサウンドが、メッセの隅々まで広がっていく。そのプレシャスな空気感をさらに色濃く塗り重ねた楽曲は“虹”。ギター3本&トランペットの音のタペストリーが、デビュー初期からのこの曲に新たなきらめきを与えていく。そこから一転、“街”では同じトランペットとペダル・スティールの音色から狂おしいほどのメランコリアが湧き出してくる。幾度もメンバー・ラインナップを変えながら己の音楽表現を研ぎ澄ませてきたくるりの「今」が、どこまでもしなやかで多彩な可能性に満ちていることを、他ならぬそのアンサンブルによってリアルに示していた。
骨太なヘヴィ・グルーヴと岸田の絶唱がメッセを震わせた“リルレロ”を経て、「これ、あと3日来るっていう人!」とフロアに呼びかけた佐藤のコールから「CDJの初回開催時は泊まり込みで2日間出演した話」を振り返っていく岸田&佐藤。「『今年最悪やわ』とか『よかったわ』とかみんないろいろ違うと思うんですけど。1年に1回ぐらい、みんなで同じことを考えられる場があったら――っていう歌をやります」という岸田の言葉から流れ込んだのは“everybody feels the same”! 極彩色のコーラスがでっかい躍動感をもって響き、フロアを熱い感激で満たしていく。さらにファンファンのピアノ・アルペジオとともに美しく咲き誇った名曲“ばらの花”、トランペットの旋律が高らかなファンファーレとして胸を揺さぶった“Remember me”……「来年は、笑顔の多い1年にしてください。ほなね、よいお年を!」という岸田の言葉とともに珠玉のアクトを締め括ったのは“ワンダーフォーゲル”。溌剌としたサウンドスケープとメロディが、最高のひとときの終わりを鮮やかに彩り、満場のハンドウェーブを巻き起こして……終了。昨年の新年カウントダウンに続いて、今年も最高の時間をありがとう、くるり!(高橋智樹)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。