客電が落ちて、薄暗いステージ上に現れた山崎まさよしとバンド・メンバーたちを、観客の拍手が出迎える。まず、1曲目に披露されたのは、ボブ・マーリィのカヴァー“Redemption Song”。アコギの穏やかな音色、パーカッションの温かい響きに彩られながら、歌声が瑞々しく広がっていく。美しい！

山崎が今度はエレキギターを手にし、メンバーと共にサウンドを雄大に高鳴らせた“Green Bird”。シャープに刻まれるビートが観客の力強い手拍子を誘った“Flowers”をさらに披露した後、最初のインターバル。「幕張～！　肉の日～！　山崎です（笑）。大丈夫ですか、みなさん？　他、観に行かなくてよかった？　最近、手が冷える（笑）。短い時間やけど、楽しんでいってください」、トボケたトーンの言葉も交えたMCを経て、演奏を再開。ブルージーなギター、ファンキーなビートが躍動し、中盤で飛び出した山崎の華麗なギターソロも猛烈にスリリングだった“Fat Mama”。超エモーショナルなサウンドが全篇にわたって展開した“Higher Round”。観客と「生麦生米生卵～」「東京特許許可局局長」・・・・・・など、早口言葉を交わし合う場面も人々を沸かせ、場内の一体感を高めた“パンを焼く”。そんな興奮を一層エスカレートさせたのが“ガムシャラ バタフライ”。パーカッシヴに刻まれるギター、神業的な滑舌を発揮する歌が最高！　熱い4曲を一気に演奏すると、ステージから去っていった山崎とバンド・メンバーたち。しかし、手拍子と歓声が起こりアンコールへ。

「ありがとう。今年もいろいろあったと思うけど、良いお年をお迎えください！」と挨拶し、ラストに披露してくれたのは “Passage”。じわじわと熱量を高めながら響き渡るバンド・サウンド、情感豊かに迫ってくる歌声に思わず息を呑む。圧倒的な表現力を持っているアーティスト「山崎まさよし」の魅力を強烈に噛み締めたエンディングだった。（田中大）