そう言い続けてきたら、いつの間にか“武道館”という言葉が現実になっていた。
日本武道館という場所には、いつも特別な意味がある。そこに立つというのは、ただ人気や勢いがあるからではない。ひとつの「物語」が、ひとつの節目を迎える瞬間でもある。
不器用で、うまくやれないことも多かったシンガーズハイが、それでも音楽をやめなかった。いや、やめられなかった。その執念が、きっと彼らをこの場所へ導いたのだと思う。
でも、その日まではまだ1年以上ある。
この1年の間に、きっと彼らはもっと強く、もっと繊細になっていくだろう。音を鳴らすたびに何かを削り、そして何かを得てきた彼ら。その果てに迎える武道館の夜が、どんな景色になるのか。
想像するだけで、もう胸が熱くなる。(古閑英揮)