ASTRO ARENA続いての登場は、昨年もこのステージを熱く盛り上げてくれたふたり、MCUとLITTLEによるユニットUL。
熊井吾郎をDJに迎え、アッパーなオープニング・チューンにのって、それぞれステージの左右から登場したふたりに、フロアから大きな歓声が湧く。互いに畳みかけるようにして、観客へのあいさつ代わりとなるラップを繰り出し、そして1曲目の“寄り添う”へ。メロウなトラックにのるのは、メロディアスなふたりのラップ。どこか哀愁を滲ませながらも、大らかに、パワフルにとアンセム的に響きわたる曲に、観客は手を大きく振りながら応える。続く曲は、LITTLEの鋭いラップでキックオフする「La vie en Rose」。キャッチーなサビでのシンガロングから、今度はMCUが熱いラップで会場を煽っていった。無常の人生、だからこそ思い切り、好きなことを謳歌するバラ色の人生へ、といった内容のこの曲は、彼ら自身のあり方そのものといった感じだろう。音楽の道を、共に分かち合える仲間で追求し、作り上げていくこと。そんなULの最高のサウンド・トラックになっている。
2014年3月には、待望となるデビュー・アルバム『ULTRAP』(プロデュースはKREVA)がリリースされることが告げられ、後半はぐっと重厚感のある曲が続く。とくに、“夢の中へ”から、“HOME TOWN”へという流れは、ULとしてまた新たなストーリーを刻みはじめた、ふたりの思いが聞こえてくる。互いに向かい合って、言葉を交わすようにラップする“夢の中へ”。そして、希望と決意で満ちた、キラキラと輝くトラックで縁取られた“HOME TOWN”。ミドル・テンポのビートでじっくりと、エモーショナルに描きあげていく2曲を、観客は噛みしめるようにして聴いていた。
一転して、“LALALike a LoveSong”はアップビートなダンス・チューン。「オイ! オイ! オイ!」とコールするふたりのアオリで、観客が跳びはねる。胸熱くなるようなリリックでガッツポーズさせたかと思えば、スカッと踊らせもするし、切なさで心を揺したりする。30分のステージで、マイク2本で様々な感情のうねりを起こし、観客をひっ掴んでいく力強いパワーは、数々のステージを踏んできたふたりゆえ。「また、逢いましょう」と、去るふたりの背中に、大きな拍手と歓声が贈られた。(吉羽さおり)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。