じん(自然の敵P)が今回のステージのゲストボーカルとして招いたのはLiSA。スタート時間となり、バンドメンバーと共に登場したじんを観客の拍手が出迎える。そして、激しく刻まれるギターが先陣を切り、スタートしたのは“カゲロウデイズ”。曲に合わせて飛び跳ねる観客の盛り上がり方が、とにかくすごい。LiSAがハンドクラップを始めると、フロア全面からも激しいハンドクラップが起こる。「よーこそ! 今日はLiSAさんと一緒に演奏して帰ります!」、じんの挨拶を挟んで2曲目“夜咄ディセイブ”。LiSAはステージの端にまで移動しながらフロアを煽り、激しくステップを踏みながら歌い、観客の興奮にますます火を点ける。続いて“ヘッドフォンアクター”。シャープに刻まれるビート、ドラマチックなメロディ、スピード感に溢れる展開が猛烈にスリリング! 強力な3曲が立て続けに披露されて、場内の熱気の上昇はとどまるところを知らなかった。
「改めまして、こんばんは。じんと申します。12月30日、こんなに大勢の人に囲まれて緊張しています。最高に楽しいです! 僕はじんという名前で曲を作っています。ネットに曲を公開していますので、もし気になったら、“じん”と検索して聴いてもらえると嬉しいです」……自分のことを紹介しているのに緊張のあまり何度も言葉を詰まらせ、時折LiSAにツッコミを入れられていたじん。どうやらたくさんの人に会うのは久しぶりで、普段はコンビニの店員とピザの配達人くらいしか交流がないらしい。そんな素朴なMCが観客の和やかな笑いを誘っていた。
「みんなで楽しめる曲を準備いたしました。知っている人も知っていない人も一緒に歌ってください!」と言い、再び演奏へ。甘酸っぱく胸を締めつけるメロディがキラキラと躍動した“夕景イエスタデイ”。ディストーションギターが轟く中、LiSAが激しく身体を揺らしながら歌う様が実に楽しそうだった“アウターサイエンス”。この2曲によってASTRO ARENAは、ますますハッピーなパーティー空間と化していった。
「最高に楽しいです。ええと。1個、聞いてもらいたいことが。来年、4月から今日演奏した曲たちのテレビアニメが放送されます。今日やった曲たちにも1つずつ意味があるんです。そういうのが繋がったアニメになる予定です。僕は田舎出身。テレビでCOUNTDOWN JAPANを観ていました。遠いと思っていました。でも、みんなのお陰でここに立てました。僕をミュージシャンにしてくれてありがとう!」、相変わらず非常に照れくさそうながらも想いが深く籠ったMCは、グッと来るものがあった。そして、ラストに披露されたのは“サマータイムレコード”。ドラマチックなメロディを熱唱するLiSAとギターを全力で弾くじん、2人が心底嬉しそうな表情を浮かべているのが、一瞬、ステージ後方の大型LEDに映し出される。そんな様を眺めながら観客もますます大喜びで踊る。最高に清々しい昂揚感を、あの場にいた全ての人が味わっていたはずだ。(田中大)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。