男女入り乱れての「せっちゃーん!」という呼び声に応え、斉藤和義、EARTH STAGEに参上! 信頼感抜群のルーツ色と、キラキラとしたフレッシュなサウンドスケープ、そして華やかな映像/照明演出を背負いながら、まずはシングル曲“やさしくなりたい”を切り出すというオープニングだ。ごくごく近年の楽曲なのに、なんでしょう、このクラシック感は。歌の合間に「ヘイ幕張〜!」と呼び掛けながら伸びやかな歌メロを届けてくれる。そこから一転、エモーションを宿らせた歌詞をたっぷりの言葉数で溢れ出させるという、ロック・ヴォーカリストとしての達人ぶりを見せつける展開である。「え〜い、こんちは〜。さっきちょっと、あっちゃん観て来たんですけど……可愛いっすねえ。えーと……なんですかねえ、特にないなあ(笑)。東京では最後のライヴなんで、楽しませてもらいますぅ〜」。のほほんとしたMCでオーディエンスをリラックスさせつつ、繰り出されるナンバーは“ずっと好きだった”なのだから反則である。
2013年は、スタジオ・アルバムだけでも『斉藤』『和義』という2作を同時リリース。それらに収録された楽曲群もフィーチャーしつつ、大人の色香を振り撒いて絶倫ロックンローラーぶりを見せつけてゆくステージである。9月発表のシングル曲“Always”では、本人含めマエストロ揃いの5ピース(G・Cho:フジイケンジ、G・Cho:辻村豪文、B・Cho:隅倉弘至、Dr:小田原豊)の力強く瑞々しいモータウン・ビートで、終わらない青春と情熱をEARTH STAGEいっぱいに描き出してくれる。トリプル・ギターによる音の対話を楽しみ尽くし、ご機嫌なイッツ・オンリー・ロックンロールでオーディエンスの視線を奪い続けては一面の笑顔を生み出す、というこの光景はどうだ。「いぇ〜い」と脱力トーンでバンド・メンバーを紹介する姿には笑いが巻き起こるけれど、イントロだけで身を震わすような大歓声を誘い、顔から大量の汗の雫を滴らせながら“歌うたいのバラッド”を放つ斉藤和義のオーラは、やはり本物のスーパースターでしかなかった。「今年もいろいろありがとうございましたぁ〜。来年も、ね。どこかでお会いしましょう。良いお年をです〜」。ギター・リフでレスポンスを誘い、歌詞をオーディエンスに丸投げするクライマックス。「圧倒」というよりも「楽勝」という言葉が相応しい、そんなロックンロールのひとときであった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。