開演前のCOSMO STAGEでは向井秀徳らメンバー本人による入念なサウンド・チェックが。そう、『COUNTDOWN JAPAN』初回開催から11年連続出演、かつての大阪開催時も含め今回が実にCDJのべ14ステージ目となるZAZEN BOYS! 向井の「幕張! 時には、女とまぐわり!」のCDJ定番(?)の挨拶に、満場のCOSMO STAGEからうおおおっと歓喜の雄叫びが湧き起こる。「我々マキシマム・アンド・ザ・ホルマリン・ボーイズでございます!」の口上から“Honnoji”の鋭利な奇天烈ファンク・ビートでフロアを揺らしていく。触ると切れそうなほど張りつめたアンサンブルと、♪本能寺でずっと、ずっと、ずっと、ず、ず、ず、ず、ずーっと、ずーっと……というとぼけた歌い回しのコントラストが、観る者すべての衝動をまさぐり、轟々と噴き上がる4人の紅蓮のキメが大歓声を呼び起こしていく。さらに“Usodarake”で会場の熱気を心地好くかき混ぜてみせた後、立て続けに“破裂音の朝”へ。プログレ〜ポスト・ロックの薫りに満ちた吉兼聡&向井の鮮烈なギター・タペストリーが、目映いロック異世界への扉を大きく開け放っていく。
そのまま4人は“感覚的にNG”へ流れ込む。ゆったりしたビートを打ち鳴らす松下敦のドラムはそのストロークのひとつひとつが超ヘヴィ級の打撃力に満ちているし、吉田一郎のベースは大地ごと震わせるような威力に満ちている。激しくスパークする吉兼のギター・ソロはサイケデリックなトランス感にあふれているし、そんな中で響く♪感覚的にNG〜の向井の歌はマジカルな不穏さをもって幕張メッセに広がっていく……ZAZEN BOYSの凄味の核心に触れるような、胸躍る時間だった。そして、異形の7拍子ポップ“Himitsu Girl's Top Secret”! 次々に押し寄せるキメの1音1音が衝撃映像集のような爆発力とスリルをもって身体と心を震わせ、オーディエンスを狂騒の彼方へぐいぐいと導いていく。ラストは“Riff Man”! 鍛え上がった4つの音が熾烈にぶつかり合い、♪打ち鳴らすリフとリフ 耳から飛び出る昇り龍〜 と朗々と歌い上げる向井の吟詠が、ミステリアスな呪文のように、あるいは厳かな儀式のように響き、バンド・アンサンブルが極限炸裂して……終了。「MATSURI STUDIOからやってまいりました、ZAZEN BOYS!」の向井の声とともに、意気揚々と手を振りながら舞台を後にする4人に、惜しみない拍手が湧き起こっていた。(高橋智樹)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。