バンドというよりも、楽団と呼びたくなるような大所帯で、さまざまな楽器を手にしたメンバーがステージに登場。ギターやドラム、ベース、キーボードに加え、サックスやホルンなどの管楽器や三線、ピアニカなどなど、一体どんな音楽を奏でるのかが気になるし、しかも名前は、片想い。COSMO STAGEに集まった観客も、頭上に「?」を浮かべながらも、ワクワクしながらステージにはりついている。
そんな観客を前に、「一緒にコスモを燃やしましょう! 古いな……いや、ちょっと待て、緊張してるんだ(笑)」と片岡シン(Vo・三線)が舞い上がりながらあいさつをすると、会場は和やかなムードに包まれた。ワイワイとしたにぎやかな合奏感に、ドタバタの空気もいい味となって、“グッドエネルギー、シンキングタイム”でまさにタイトル通りのグッド・エネルギーをCOSMO STAGEに注入していった。
「みなさんこんばんは、片想いと言います。えー、有権者の皆様のために一生懸命頑張りたいと思いますので、応援、よろしくお願いします」(片岡)と、しれっとおやじギャグを飛ばしながらも、音楽にはほろっと沁み入る歌心があって、なんだか愛おしいバンドだ。ブルースやゴスペルのソウルと、親しみある近所の景色や匂い、しんみりと温かい夕焼けの温度とが入り混じって、やさしい懐かしさが広がる。会場のムードも、ごくごく親しい友達と、時間を分かち合っているような感覚。
今年リリースした1stアルバム『片想インダハウス』からの曲を中心に、また新曲や音源未収録曲の“棒切れなど振りまわしても仕方のないことでしょう”も披露。躍動的なマーチ曲“棒切れ~”では、棒切れならぬタオルを振りまわしながら、観客といっしょになってダンスをしたり、シンガロングで盛り上がっていく。
友達が友達を呼んで、いつのまにか音楽が鳴って、バンドになった。だからこそ肩肘はらず、形にこだわらず、自由なマインドで音に気持ちをのせ、まっすぐに届けることができる。そんなバンドのあり方で、楽しさを伝えてくれるステージだった。(吉羽さおり)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。