虹色に彩られた照明に負けないくらいの明るい笑顔でステージに登場したのは、若き女性シンガーソングライター、宇宙まお。「カウントダウンジャパーン! 宇宙まおです! よろしくねー!」と元気に挨拶すると、ギターを高らかに掲げていきなり代表曲“あの子がすき”をパワフルに歌いだす。ラストサビでは「みんなで歌ってくれますかー?」と、ハンドクラップをしながら会場にシンガロングを巻き起こす。そこでフロアの中で彼女のグッズタオルが掲げられているのを見つけると、まるで好きな人を見つけた時のようなあどけなさで「きゃー! タオル、ありがとう!」と素直に喜びを表した。そんな愛らしい彼女のステージを観ようと、演奏が始まってからも人は入り続けていた。
そこからアコースティック・ギターを赤いストラトに持ち替えて“ロックの神様”で会場を揺らし、「トトトトトン」という擬音をそのまま歌詞にした遊び心溢れるナンバー“つま先”で確実に会場の雰囲気を「宇宙空間」にしていく。「観に来てくれて本当にどうもありがとう! 私は今年1年間レコーディングをずっとしていまして、来年の3月に初めてのアルバムをリリースすることになりました。本当に絶対聴いてほしいアルバムで、皆さんに聴いてもらいたくてしょうがないから、今日は全部その中からやっています」と話し、「メッセージが伝わるといいな……」と切に願うような言葉から壮大なバラード“哀しみの帆”を歌い出す。ギターの調べに乗せてゆったりと帆を上げて前に進むような彼女のしなやかに伸びる声が涙を誘う。
そして、キーボードの煌びやかなイントロの音色から始まる“声”を、ギターを手放したまおがステージを歩きながら丁寧に歌い上げる。一言一言をゆっくりとしたメロディに溶かすと、照れたように「ありがとう」と漏らした。ラストはドラムの力強いキックがクラップを誘い始まった“わたしが死んでも”。「みんなに会えて良かったー!」という言葉と共にこれ以上ないくらいのピースフルな空気を作り上げてみせた宇宙まお。その堂々とした姿を見て、本当に3月にリリースされるというニュー・アルバムが楽しみになった。(峯岸利恵)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。