2日目のMOON STAGEのトップを飾るのは、茨城県出身の3ピース・バンドである真空ホロウだ。クラシカルな管弦楽のオープニングSEに乗って登場し、村田智史(B)の野太いベース・フレーズが繰り出されると、大貫朋也(Dr)のビートがそれを追う。そして、松本明人(Vo&G)は腕を高くかざしながら、“闇に踊れ”でステージの幕を切って落とすのだった。妖艶にして切迫した歌声が伸びやかに展開し、《幕張は僕らのもの》と不敵な野心を乗せた歌詞に変えてオーディエンスを巻き込んでゆく。「COUNTDOWN JAPAN!! 真空ホロウへようこそ!!」とディストーションの効いたギター・サウンドから“バタフライスクールエフェクト”~“週末スクランブル”と3ピースの痛快極まりない爆音は更にヒートアップし、荒ぶるほどに色気を増す松本の声が大歓声を呼んでいた。
「朝イチから調子いいねえ! 2月19日にシングルを出します。『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の主題歌になりました。じゃあその曲やります!」と村田。その新曲“虹”は幽玄イントロから、徐々にバンドの一体感でもっとグルーヴを生み出していくナンバーだ。真空ホロウが一曲一曲に込める生々しい感情のうごめきは、触れる者に気を抜く隙を与えないようなところがある。そして「来年は、暖かい冬になりますように」と、松本が願いを込めて披露するのは、クリスマスソングとしてこの12月に配信で届けられた“スノーホワイト”。その美しく壮大なアンサンブルが、バンドの表現を押し広げながらMOON STAGEを包み込んでいった。
「みんな朝から集まってくれてありがとう。ホント嬉しいよ。さっきも言ったけど、ニュー・シングルをリリースします。魂を削ったというか、血ヘドを吐いたというぐらいの勢いの、気持ちを込めて作ったCDが出来ました。試聴機で、一瞬でもいいから聴いてみて」。そんな村田の言葉にも、今の彼らの真剣さが滲み出ている。最後にもう一度“アナフィラキシーショック”で狂騒を描き出すまで、短い持ち時間でありながら見事な存在感を示したステージであった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。