サウンドチェック中の《さぁさぁ みなさん 寄ってらっしゃい》(“まじないの唄”)という歌に、引き寄せられるように集まってくるオーディエンス――MOON STAGEのネクスト・アクトは、来年1月15日にニューアルバム『Let It V』のリリースを控えたOKAMOTO'Sだ! 登場SEは、本日訃報が舞い込んだ大滝詠一の“君は天然色”。オープニングで喝采が沸くステージに飛び出したOKAMOTO'Sの4人、まずは“共犯者”からライヴがスタート。ルーズでブラックなムードに満ちたオールドスタイルのロックンロールが、オーディエンスの衝動の扉をこじ開けていく。さらにオカモトコウキ(G)の焦げ付くようなギターフレーズから“Beek”へ雪崩れ込むと、フロアはたちまち欲望と本能が全解放のダンス天国へ。強靭なビートがオーディエンス一人一人の腰に絡みつき、上下左右に揺さぶっている感じだ。曲の随所で挟み込まれるハマ・オカモト(B)のベース・ソロも、フロアの熱狂にさらなるガソリンを注いでいく。続く“マジメになったら涙が出るぜ”では盛大なシンガロングを誘引。「2013年いいことも嫌いなことも楽しいことも哀しいこともあったけど、そのすべてを愛したいぜ」というオカモトショウ(Vo)のファーストMCからの“ラブソング”では、カラフルなポップサウンドを弾けさせて軽快な横揺れを導いていく。
――と、ここまでも息つく暇ないダンス・ナンバー連打だったのだけど、ここからが凄かった。「来年は5周年のアニヴァーサリー・イヤーだから色々楽しいことをやっていきたいと思います!」という挨拶からの“JOY JOY JOY”で、フロアは瞬間沸騰! ファンキーなビートも目映いメロディもカラフルなコーラスも、すべてが大音量かつスピーディーに放たれるこの曲の殺傷力たるや、恐るべきものがある。これで完全にリミッターが振り切れたダンス無法地帯へ足を踏み入れると、リビドー全開の“青い天国”、オカモトレイジ(Dr)の爆裂ビートの上でギターとベースと歌がビュンビュン飛び交う“SEXY BODY”と畳み掛け、MOON STAGE全体で興奮の極地へと上り詰めて大団円を迎えた。演奏を終えて、「来年も我々すごいから見逃すなよ」と告げてステージを去ったハマ・オカモト。その達成感に満ちた言葉が、このステージの楽しさを何よりも物語っていた。(齋藤美穂)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。