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まず、この3年にわたってリリースしてきた多くのシングル曲たちを、アルバムというフォーマットにコンセプチュアルに昇華してみせたことに舌を巻く。全22曲の収録曲の中、特に新曲群に見られる、複雑かつ軽妙なリズムとホーンが絡み合うエキゾチックでファンキーな曲の質感が、まるで遠い異国の音楽のような響きを持ちながらも、どうしようもなくリアルである。息遣い、手触り、体温、失意や高揚や怒り……「すぐそこ」にいる人間のそれらが伝わってくるようなリアルさ。「ここではないどこか」の話が「今ここ」の話になる、そんなマジックがある。それが可能なのは、表現される感情が普遍的だからだろう。今回もアルバムとリンクする形で小説がリリースされるが、書簡型小説になるという。書簡という形式が、この3年間のヨルシカの心象を表しているように思える。「音楽は、聴かれて成立する」。その簡潔な真理に徹するがゆえにヨルシカは、人の魂の悲しさに、救いに、誰よりも純粋に触れ得るのではないか。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年4月号より)
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