SEBASTIAN XにつづいてCOSMO STAGEに登るのは、1stフルアルバム『演出家出演』のリリースや自主企画「印象A」の開催など、躍進著しい一年を駆け抜けたパスピエだ。登場するなりメンズ4人の楽器隊が激しくもグルーヴィなアンサンブルを響かせ、「COUNTDOWN JAPANへお越しのみなさま、こんにちは! パスピエです」とキラキラドレスの紅一点・大胡田なつきが現れて一気にトップギアで加速! 躍動的な4つ打ちビートにあわせて勢いフロアは波打ち、「ありがとうございます! 今日はよろしくね~」(大胡田)と立て続けに“電波ジャック”へ。パスピエの頭脳=成田ハネダのキーボードは変幻自在に音符を吐き出し、長身長髪のギタリスト・三澤はモニターに乗り上げて饒舌なソロを披露。プログレッシヴかつ一体感溢れるアンサンブルで一直線にレッドゾーンへと駆け上がった。
実はこのパスピエの初CDJステージには長い物語があって、中盤、成田自身の口からそれが明かされる――「僕は7年前の『COUNTDOWN JAPAN』で初めてバンドのライヴというものを見て。ここに立ちたいと思ってバンドをはじめました。7年かけて、このステージに登ることができました!」と。フロアからは大喝采が沸き起こり、「エエですねえ。そんなエモーショナルなパスピエと一緒に、今日は最後まで楽しんでいってくださ~い!」と大胡田が飄々と呼びかけ、“とおりゃんせ”、“チャイナタウン”と再び熱量MAXでヒートアップ。大胡田のキュートな歌声、そしてインテリジェンスと狂気が火花を散らすような交響楽的アンサンブルで観る者を圧倒する。気づけばフロア後方まで黒山の人だかりで埋まるなか、「来年、東名阪で企画ライヴをやります。ぜひ来てください!」と成田、そして「ありがとうございました! また来年お会いしましょ~」と大胡田が告げてラストの“最終電車”で今一度クライマックスへ――。確かなセンスとスキルに裏打ちされた、堂々たる初陣だった。(奥村明裕)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。