あっという間に迎えてしまったCOUNTDOWN JAPAN 13/14の最終日。総合プロデューサー・渋谷陽一が、デビュー25年目にかけてバンド史上最長のライヴ活動休止を余儀なくされ、それを乗り越えて劇的な大復活を遂げたエレファントカシマシを呼び込むと、肌を震わせるような大歓声が巻き起こる。トリプル・ギターのサウンドが響き渡る中、2年ぶりにEARTH STAGEで届けられる宮本浩次(Vo・G)の歌声は“悲しみの果て”だ! 続いてステージ上を宮本が駆けずり回りながら、痛快なるデビュー・シングル曲“デーデ”を繰り出すと、「オーケー、エブリバディ。なかなか、金持ってる奴はずっと持ってるんだけど、持ってない奴は持ってないんだ」「とはいえ、今年もこの31日、過ぎ行く一年から、新たな年を、やってこうってことで、素晴らしい一年になるように気持ちを込めて歌います」と語り、豊穣なバンド・サウンドに思いを滲ませながらじっくりと披露される“風に吹かれて”に繋いでゆくのだった。
ステージ下手側から蔦谷好位置(Key)、高緑成治(B)、冨永義之(Dr)、石森敏行(G)、ヒラマミキオ(G)とサポート・メンバーを含めて頼もしい布陣を紹介した後には、「喋りすぎると自分だけが楽しくなっちゃうんで」と告げると、“今宵の月のように”から“俺たちの明日”へ、モニターを踏みつけオーディエンスに言い聞かせるようにしながらヒット曲が届けられる。「イイェエエエエッ!!」と、すべて濁点付きで表記したくなるような発声で放たれる宮本のシャウトが凄まじい。「新曲聴いてください……新曲っつっても去年の新曲でした! すみません!」と繰り出される“ズレてる方がいい”では、石君のギターも、深く腰を落とした姿勢から爆音のレッドゾーンに振り切れていった。
「そもそもあの、ロックを歌う人が、すごい金持ちになって、それはそれでいいのかも知れないと思うんだけれども、何をモチベーションにして歌うんだろう? お金持ちを維持するために歌うのかなって、思ったりして……新曲の前フリとしては全然ふさわしくないですが(笑)」と“デーデ”な心持ちを引き摺っているのか宮本、しかしここで《わたしの生命はすべてあなたに繋がってゆくのです》と強靭な哲学をもって届けられる“あなたへ”はあまりにも美しかった。そこからなだれ込む“ガストロンジャー”で「自分自身の道を貫くって難しいけどよ、エブリバディ!!」とオーディエンスを睨みつけながら吐き出される激情、トドメに“ファイティングマン”が満場のクラップを巻き起こしながら突き進む。年明け早々1月11日には「デビュー25周年記念 SPECIAL LIVE さいたまスーパーアリーナ」を控えているが、その大舞台のワンマンを前にして不滅のロック・スピリットを解き放ったステージであった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。