先ほどのTEMPURA KIDZのはちきれんばかりの躍動感とは真逆の、静かに張りつめた空気感に包まれたASTRO ARENA。人間の深淵の美を描き出すフィメール・シンガー=luki、2年ぶりのCOUNTDOWN JAPAN登場! バンド・メンバーとともに、純白のドレス姿で舞台に現れたluki、最新ミニアルバム『パープル』から“まだ間に合うから”の清冽なメロディを歌い上げる歌声が、豊潤なバンド・アンサンブル&映像アーティスト・三嶋章義による映像と一体となって、雄大なサウンドスケープを生み出していく。「足を止めていただいて嬉しいです。短い時間ですが、最後まで聴いていただけたら嬉しいです」という挨拶に続いて、さらに『パープル』から“スイッチ”の澄み切ったドリーミンな歌を聴かせて、フロアを濃密な陶酔感で満たしていく。
キュート&ポップな“三毛猫シェリー”に続いて、“世界は変えなくていい”。《卑怯な銃弾には/負けないってあなた言ったじゃない/世界は変えなくていい》というシリアスな言葉が、儚くも凛としたlukiのヴォーカリゼーションとともに伸びやかに広がり、彼女のブルースハープのメランコリックな響きが狂おしく胸に迫る。湧き起こる拍手に応えて、「ありがとうございます。では、最近作った曲を……」と続けて披露したのは新曲“パラレルワールド”。迷いなき歩みのようなリズムの中で、lukiの声はひときわ決然としたヴァイブをもって染み渡っていく。
「早いもので、次で最後の曲です……緊張してきました」と静かに語るluki。「私たちのいる世界はいろんなことがあって、誤った方向へ進んでしまったり、病んでしまったり、悲しいことがたくさんありますが、希望を持って生きたいと思う毎日です」……そんな言葉とともに放たれた最後の曲は“100年後のあなたへ”。来るべき2014年への祈りと願いとともに歌い上げた真摯な言葉と目映いばかりのメロディが、ASTRO ARENAを深い感動で包んでいった。(高橋智樹)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。