登場したチャボこと仲井戸麗市(Vo・G)、早川岳晴(B)、河村“カースケ”智康(Dr)、Dr.kyOn(Key)を出迎えた拍手と歓声。まずはドライヴ感に溢れるロックン・ロール・サウンドを軽快に奏でて観客の身も心も一気に温める。そして突入したのは“毎日がブランニューデイ”。温かいサウンドが一気に広がる。バンドが一丸となって奏でるグルーヴィーなサウンドに合わせて人々が身体を揺らすフロアは、何とも言えず幸せなムードに包まれていった。
「サンキュー! さよなら~(笑)。ようこそ! 寒いのに。大掃除もやらないでよく来てくれた。あんまり話すと時間がなくなるからな。今年、このフェスの出演者の中で、俺が最年長だそうだ。これは誇っていいのか? 渋谷(陽一)の野郎が、俺を呼ばないと最年長になるから俺を呼んだんだと思う(笑)。若い奴にはできねえMCだ。ざまあみろ! 折角だから、高齢者問題に触れた曲をやってやろう」、ウィットに富んだMC挟んで“オーイッ!”。骨太な質感のギターリフを浴びて、人々はますます身体を気持ち良さそうに揺らす。華麗な鍵盤ソロ、渋いフレーズを連発するチャボのギターソロも飛び出し、場内の一体感はますます高まる。続いて披露されたのは“やせっぽちのブルース”。アップライトベースのまろやかなサウンド、シャープなドラム、軽やかに弾むピアノ、絶妙なビートを生むギターが一体となって迫って来る。耳を傾けると湧き起る快感が半端ではない! 最高のプレイヤー揃いのCHABO BANDの凄みを存分に体感した。
「いいノリしてるぜ。来て良かった。朝まで楽しんでくれ。このメンバー、覚えてけよ。頼むぞ!」と言いつつメンバーたちを紹介した後、「僕たちはもう行かなければ。今年、ポール・マッカートニーが来日した。俺が高1の時にビートルズを武道館に観に行った時に、言ったんだ。“僕タチハモウ行カナケレバ。ニッポン最高! マタ来ルヨ”って。一緒に歌ってくれ!」と、チャボが力強く呼びかけてスタートしたのはRCサクセションの名曲“雨あがりの夜空に”。あの素晴らしいギターイントロを聴くや否や、観客は激しく興奮。腕を振り上げながら大合唱を始める。そんな様子を眺めながら演奏するメンバーたちは、実に楽しそう。世代を越えて愛されているナンバーの圧倒的な煌めきを心底実感した。「イエーって言え! RCサクセション、忌野清志郎! オーイエー! オーイエー!」と観客を煽り、曲が幕切れた時、フロア全体から起こった歓声は、とても清々しかった。
「みんな、いい年を迎えてくれ! 来年いいことあるぞ! みんな元気でな!」という言葉を残し、ステージから去っていったチャボとバンドメンバーたちを観客の全力の拍手が見送る。一足早いお年玉を貰った気分にもなる素晴らしいライブだった。(田中大)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。