【インタビュー】luvが語る、自分たちの「あったかソウル」。しかし「この気分はこれで終了」宣言。次の方向性を明かす

【インタビュー】luvが語る、自分たちの「あったかソウル」。しかし「この気分はこれで終了」宣言。次の方向性を明かす
1stミニアルバム『Already』から8ヶ月、luvがニューEP『The Seeds』を完成させた。先行配信された“meguri”を聴いた瞬間から、ソングライティングやHiyn(Vo・G)の歌い方がポップスのフィールドへと向かっている意識変化を感じ、“Send To You”で日本のみならず台湾、韓国、香港でリスナーを掴んだ8ヶ月間の手応えと現在のモードを聞きたい、と思いながらインタビューに挑んだら……彼らはすでにその先を見ていたのだった。最初にワクワクした表情で語ってくれたのは、luvの来年の展望だ。

『The Seeds』は、日本語の言葉をしっかりと届けようとする歌い方やアレンジが印象的な“meguri”から、「巡り」をテーマにした4曲が続く。これまではHiynが曲作りの出発点を担っていたところ、今回からHiynとRosa(Key)のふたりで作業する選択肢も加わり、サウンドがさらに多彩になっている点も重要であるが、Hiynが書くリリックについても深いところまで耳を傾けてみてほしいと思う。

luvは2023年6月に結成、その1年後にはメジャーデビューを果たすという、異例の急スピードで走り抜けてきたバンドだ。そして、その速さに自ら振り落とされないようにしっかりとハンドルを握ろうとする意志も持っている。こちらが彼らに振り落とされないように、この先もしっかりと追いかけていきたい。

インタビュー=矢島由佳子


今年に入ってluvは「あったかソウル」を軸にやりだしだけど、来年からこの感じがなくなるかなと思います(Hiyn)

──EP『The Seeds』より“meguri”が先行配信された時から、何か意識変化があったのかなと気になっていました。アルバム『Already』からの8ヶ月間、どういうことを考えて、luvとしてどういうものを作ろうと思っていましたか?

Hiyn 今年に入ってluvは「あったかソウル」を軸にやりだして、EPがその集大成的なノリではあって。この感じはこれで最後にしようかな、みたいなことがEPの軸としてありますね。今年の締めくくりとしてこれを置いて、来年からはこの感じがなくなるかなと思います。今みんなで作っているデモはもっとヒップホップ色が強めになってます。

──びっくり! 今の話で突っ込みたいポイントはいくつかあるんですけど、まず「あったかソウル」をもうちょっと言語化してもらうと、今年はどういうものを作りたかったのでしょう。

Hiyn いろんな人に聴いてもらえるもの、プラス、自分らのルーツをどう出していくかを意識して曲を作っていました。『Already』を作る前から、luvの今年の軸は古めなあったかいソウル──アル・グリーン、ジャクソン5みたいな古きよきソウルを取り入れたものであったり、今回のEPで言ったら“こころのどれす”は日本のフォークソングみ、プラス、華やかな感じだったり。この1年はより多くの人にluvの音楽を届けようという考え方だったんですけど、「いろんな人に聴いてもらおう」という気分はこれでやりきった感があるので終了しかけているかなって感じですね。

Zum(B) バンドサウンドを主軸にしつつ、その中で“meguri”ではストリングスを入れたりして、バンドの可能性を探れたのがこのEPなのかなとは思います。

Rosa 古典的なR&Bとかソウルを今の日本の音楽市場でどうやってアピールしていくかということを僕らなりに解釈して、それを実現させようと頑張ってきたのがこのEPまでだったと思うんですけど、次の作品は、それを踏まえつつ、もうちょっと趣向を変えようとしていますね。

【インタビュー】luvが語る、自分たちの「あったかソウル」。しかし「この気分はこれで終了」宣言。次の方向性を明かす
──今日は『The Seeds』についてインタビューする場ではあるんですけど、バンドとしてはすでにその先を見ているんだなと思って。来年からはどういうことをやっていこうとしているんですか? さっき言ってくれた「ヒップホップ色強め」な感じ?

Hiyn この1年は、歴も短くて馬力も少なかった僕らが大きなところに出ていくにあたって、「luvっていいですよね」って言う人をちょっとでも増やす必要があって。“Send To You”からその母数がちょっと増えたので、今年作ったものを土台にして、来年は僕らがインディーズの頃にやり出したルーツ的なものをやりたいなと思っています。僕らがこの1年やってきたことを踏まえつつ、よりルーツに近づいた音楽を届けて、みんなの反応がどうなるか、luvがどう評価されていくのかが、楽しみやなって感じです。

──この1年もluvはみんなのルーツに根ざした音楽を作っていたと思うんですけど、「よりルーツ的なもの」というと、ヒップホップがいちばん濃く出てきそうな感じなんですか?

Hiyn 今までは、五分五分のうち「いろんな人に聴かせる」の割合がちょっと高いところにあったのを、ちょっと下げて、自分らのルーツをもうちょっと出してみる、みたいな。今作っているデモはここふたり(Hiyn、Ofeen)で作ったんですけど、ヒップホップっぽいもの、かつ、和の要素で、日本のソウルミュージックとか日本人魂みたいなものを海外にアピールできたらなって。

【インタビュー】luvが語る、自分たちの「あったかソウル」。しかし「この気分はこれで終了」宣言。次の方向性を明かす

「luvってこう」みたいなイメージをつけられる前に「いろんな幅ができます」ということを見せていきたい(Hiyn)

──それはやっぱり“Send To You”の手応えからくる発想だったんですか?

Hiyn そうですね。MVを銭湯で撮って、富士山も映っていて、「日本文化が海外で受け入れられやすいんや」ってことに気づいたりしたんです。しかも、あの曲はluvにしか出せないソウル感がある。大きく言うと、Rosa以外の4人のルーツはソウルなんですけど、Rosaだけ唯一クラシックをバリバリやってきて、Rosaにちゃんときれいにしていただくという過程がluvっぽさになるのかなと思いました。


──このタイミングで「たくさんの人に届ける」より「自分たちのやりたいことをやる」に舵を切るのは、他のバンドの動きと比べても早いなとは思って。そもそもluvは結成から話題を集めてメジャーデビューするまでのスピードも倍速のごとく進んできたし、今も速いスピードの渦中にいるんだなとも思ったんですけど──言い方を変えると、今年1年で数字の面も数字だけじゃない部分も含めて手応えがあったから、ここで早々に舵を切ってもいいと思えたのかなと。

Hiyn このタイミングで舵を切る意味は、「あったかソウル」のニュアンスでずっと続けていると、このイメージが強くなるだろうなというのがいちばんにあって。luvって、これ以外の部分が実は多いですし、「luvってこう」みたいなイメージをつけられる前に「いろんな幅ができます」ということを見せていきたい。あとはシンプルに僕が飽き性で、すぐにいろんなものを好きになるので、そういうところで踏ん切りがついたんですよね。もちろん(リスナーの)母数をもっと増やすことも大事なんですけど、今年1年でやりたかったノリはできたから、あえてニュアンスを変えてまた母数を増やしていくっていう。

Ofeen(DJ) 全員が意見を言う場面がだんだん減ってきて、それだとバンドの意味もなくなってくるんじゃないかという話し合いもしました。みんなのやりたいことをみんながちゃんと言える状態にするということの結果が、この決断と、今作っているデモなのかなと思います。みんながいいと思えるものが、結果的に納得のいく作品になると思うから。

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次のページ自分の言いたいことを伝えることを今まで恥ずかしくてやってこなかったけど、そろそろちゃんと言えることは言おうかなというマインドになった(Hiyn)
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