【インタビュー】セカンドバッカー、時代の寵児となっても手放さない温かさ。新作EP『あの時こうしておけばよかった』が示すその核心とは?

【インタビュー】セカンドバッカー、時代の寵児となっても手放さない温かさ。新作EP『あの時こうしておけばよかった』が示すその核心とは?
昨年、“犬とバカ猫”の大ヒットで一気にシーンへ躍り出ただけでなく、今年に入ってもインフルエンサーであるなえなのへ楽曲提供&フィーチャリングした“ツンデレ”でさらなるバズを手にしたセカンドバッカー。とは言え、伝えたいことやスタンスは何も変わらない。切なさや悲しみが漂う情景を描写しながらもにじみ出るセカンドバッカーたる所以と言い切れる愛情と温かさが新作EP『あの時こうしておけばよかった』にはあり、曲へとにかく集中するこうへい(G・Vo)、俯瞰でバンドを見ながら支えるまさみ(Dr)というバランスもそのままだ。大きなプレッシャーがかかってもおかしくない今の状況でも自らの矜持を決して見失うことがない頼もしさがなんとも嬉しい。トレンドや流れとはまた別軸で、人々の心に確かな感触を持って残り続ける音楽とはきっとこういうことなのだろう。

インタビュー=ヤコウリュウジ 撮影=是永日和


“ツンデレ”をどう使っていくのか、さらに伸ばすにはどうしたらいいのか、次にバンドで出す曲も大事になってくる。これは延々と続く沼なんだな、って(笑)(まさみ)

──“犬とバカ猫”が大ヒットしてもあまり生活は変わらない、と以前お話されてましたよね。大型イベントやテレビにも多数出演されていますが、その後いかがですか?

まさみ 望みが高すぎるんですかね。(“犬とバカ猫”で)僕はもう電車に乗らなくてよくて全部タクシーで行けるんじゃないのかな、と思ってたんですけど、今日も電車で来ました(笑)。

こうへい 僕は家を買えるのかなと思ってたんですけど。

まさみ 買えるか!(笑)

こうへい なので、あんまり変わったことはないです(笑)。

──それとはまた別に、当時まさみさんはプレッシャーも感じてるとおっしゃっていて。

まさみ そうでしたね。それで言うと、最近(なえなのとコラボした)“ツンデレ”という曲がTikTokでヒットして、これでバズるのが2度目になるわけじゃないですか。なんとなく肩の荷が下りるのかなと思ってたんですけど、全然そうでもなく。ここから“ツンデレ”をどうバンドで使っていくのか、さらに伸ばすにはどうしたらいいのかも課題だし。次にバンドで出す曲もめっちゃ大事になってくる⋯⋯って考えると、これは延々と続く沼なんだな、ってことに気づきました(笑)。もちろん、そこに楽しさはありますし、ワクワクもしてます。

──というまさみさんに対して、こうへいさんは?

こうへい もう全然何も考えてないです。

まさみ ハハハハ(笑)。

こうへい そのへんは(まさみに)任せられるというか。“ツンデレ”に関しても何かあったらなえなのちゃんをメンバーにすれば⋯⋯とか。

まさみ ウソつけよ!(笑)

──その気取らなさはセカンドバッカーらしいところですが(笑)、期待してくれている人が膨大に増えた今、歌いたいことに関して変化が出てきたりは?

こうへい それは増えましたね。今回のEPもそうなんですけど、以前よりも自分の弱さを認められる、前へ出していける感覚がありました。

──また、新作を聴いたとき、日常の小さな出来事に宿っている幸せへフォーカスした“SOS”のような曲は、今のセカンドバッカーが置かれてる状況とリンクしてるのかな、とちょっと思って。いろんな嬉しいことが起きて、今まで感じられていた喜びを見過ごす怖さもあるでしょうし、自分たちの根本を忘れないようにしたい、みたいな表れなのではと。

こうへい そうかもしれないですね。僕はいろんな人に支えてもらうことが多いんですけど⋯⋯僕、ラーメンがめっちゃ好きで。

まさみ なんの話?(笑)

こうへい ハハハハ(笑)。ラーメン屋さんってすごくこだわりがあったり、別にルールを守れなかったら来なくていいっすよ、みたいなところもあったり、それぐらいラーメンにかける思いがあって。そんなラーメン屋さんを楽しいと思える友だち同士でラーメンを食べて、ケラケラと笑ったり喋ったりする空間や時間ってすごく温かいなって。そういう温かさをたくさん詰め込んで、人が頑張っているものに対してちゃんと楽しめる人たち同士だからこそ、たとえばつまんないものに対してつまんないよって言い合えたり、助けてって言い合えるんだよ、みたいなことを書いた曲ですね。

──そこへフォーカスしようと思ったキッカケはあったんですか?

こうへい すごく浴びましたね、温かさを。たとえば、まさみくんからゲームに誘われたりするんですけど、めっちゃ朝早くに電話かかってきたりするんですよ。

まさみ 朝6時とか7時とか(笑)。

こうへい 小学生の夏休みみたいな感じなんですけど(笑)。

──元気に早朝から「遊ぼう!」って(笑)。

こうへい ゲームするけどやる? 待ってるね、みたいな。そういう気持ちとかって忘れていたけど、すごく温かくて。そういうことを浴びて浴びて、これは絶対に曲にしたほうがいいな、と。自分は喋るのが苦手なんですけど、それを(曲として)他の人に返して、回り回ってみんな幸せになれたら、と思ってます。

【インタビュー】セカンドバッカー、時代の寵児となっても手放さない温かさ。新作EP『あの時こうしておけばよかった』が示すその核心とは?

不思議ですよね。《不意に目配せ》とかも意味はわかるけど、みたいな。そういうのが面白い(まさみ)

──歌詞ではセカンドバッカーらしい滑らかな韻の踏み方も印象的です。《情熱的本能的》《集合》と《迷子》だったり、自然と出てくるんですか?

こうへい そうですね。考えるのは、かっこつけないようにしようということで。かなり前に歌詞をまさみくんに見せたとき「すごくいいけど何か硬いというか、誰かが喋ってるのが想像できない」と言われてハッとしたことがあって。かっこつけずになるべくシンプルに、簡単に簡単にしようとは心がけてますね。

──そういった中で“犬とバカ猫”での《不意に目配せ》もそうでしたが、この曲でも《寝首をかいて》や《繰り返しすする今日も》みたく、ちょっと聞き慣れない言葉も使いますよね。

こうへい そこは直感ですね。

まさみ 不思議ですよね。《不意に目配せ》とかも意味はわかるけど、みたいな。そういうのが面白いっすよね。

こうへい 地元の友達が酔っ払ったときに「やれれる?」とか「飲めれれる?」とか言うんですよ。“れ”を2つ続けるって日本語としてはないけど、なんか伝わる。そういうのが結構好きで。まさみくんが言う「弱虫」とかもなんか面白いし。

まさみ どういうこと?(笑)

──説明してもらってもいいですか?(笑)

まさみ 僕のマイブームで人が弱みを見せたときに「言い訳?」とか「弱虫が!」って言うのにハマってるんですよ。だから、ちょっと違うけど意味が通じるときに使う言葉が好きってことだよね?

こうへい はい(笑)。


──なるほど(笑)。サウンド的にはエネルギッシュなロックになっていますね。

こうへい サイダーじゃないけど、そういう感じの音にしたくて。

まさみ 夏の夜みたいな。

──1番と2番でメロディだけじゃなく、アレンジも変化させてたり。Bメロのカウベルもそうですけど、スパイスの効かせ方も上手いな、と。

まさみ 嬉しいです。僕らはミドルテンポが多いんで、アッパーな曲を作るならいろんなことをやってみよう、って。

──しかしながら、1番のAメロの最後、《君に名前を呼ばれたい!》のメロディはすごくフックがあるのに2番で使わないのは驚きました。

こうへい Aメロってめっちゃ大事だと思ってて。サビがキャッチーであればあるほど、他の場所で回収しなきゃいけないというか。それに僕はよくやるんですけど、1番であることが起きて、2番はその心の中や頭の中の部分を描くというか。

──描いているものが違うから、それに沿ったメロディやアレンジにしたい、と。

こうへい そうです。

【インタビュー】セカンドバッカー、時代の寵児となっても手放さない温かさ。新作EP『あの時こうしておけばよかった』が示すその核心とは?

次のページ言葉の上にあるのが僕は愛情だと考えていて。嫌なことを言うのもロックだと思うんですけど、僕の知ってるロックバンドってどれも温かかった(こうへい)
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