【インタビュー】前例のない3ピースバンドのスタイルを開拓中! Conton Candyが1年7ヶ月ぶりのアルバム『すっぴん』で本当の自分たちを見せる

【インタビュー】前例のない3ピースバンドのスタイルを開拓中! Conton Candyが1年7ヶ月ぶりのアルバム『すっぴん』で本当の自分たちを見せる - All photo:Sota Edo Hair&Make up:Hitomi AndohAll photo:Sota Edo Hair&Make up:Hitomi Andoh
Conton Candyは、本当に面白い3ピースバンドだ。2ビートでパンキッシュにライブフロアを掻き回すときもあれば、テクニカルなフレーズをさらりと忍び込ませてミュージシャンやクリエイターを唸らせる場面も多々ある。ライブハウスやフェスに出れば熱いMCと演奏でいろんな界隈をひとつにして、テレビから流れれば、その声で一瞬にして人の耳を掴む。そんな多面性によって、3ピースガールズバンドとして、というより「バンド」という存在の中で、どんどんと唯一無二な音楽性と立ち位置を築き上げている。その証拠として、昨年から今年にかけて、TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』、『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』、『終末ツーリング』、『メダリスト』のテーマソングに、さらにはソニー銀行CMと、途絶えることなくタイアップのオファーを受けてきた。

1年7ヶ月ぶりのアルバム『すっぴん』は、既発曲6曲に新曲を8曲も加えたもの。大型タイアップの楽曲でもConton Candy自身のキャラクターがしっかりと見えていたが、新曲8曲はより「すっぴん」な自分たちを見せたかったという。セルフプロデュースで手がけたジャケットは、「勇気がいっただろうな」と思うくらいの薄化粧で、そこからも飾らない自分たちを見せる覚悟が伝わってくる。かっこつけてないのにかっこいい。そういう姿にこそ、その人の本当の実力や優しさを見ることができる。私はいつも、そう思っている。

インタビュー=矢島由佳子


特に歌詞が、タイアップだと「作品の物語を私たちが彩らせていただく」という形なのが、アルバムの曲に関しては自分たちの中で完結していて、そこがいちばん違う気がします(紬衣)

──アルバムとして1年7ヶ月ぶりで、確実に前作『melt pop』のネクストを表現しているアルバムだと思いました。

紬衣(Vo・G) ありがとうございます!

──この1年7ヶ月、バンドとしてどんな経験をして、その中でどんな感情を抱いて、どんなことを考えて、そしてどんなConton Candyを見せたくてこのアルバムを作ったのか、ということを辿らせてもらってもいいですか?

紬衣 『melt pop』をリリースしてからはタイアップが多くて、自分たちとしてもチャレンジだったし、作品を通じていろんな人に出会えて、すごく貴重な経験をさせていただいた年で。このアルバムでは、今まで着ていた飾りとか厚化粧な感じをちょっと一回、きれいなものとして大切にしまっておこうと。そして自分たちの本来の姿、すっぴんの部分を表現したアルバムを1枚作ろうっていう形で、『すっぴん』ができました。

彩楓(Dr・Cho) タイアップですごく勉強させてもらって、曲をパワーアップさせるという面でも本当に成長できたんですけど、たぶん、3人とも「こうしなきゃ」が頭の中をよぎる瞬間があって。「こうしたいからこうする」じゃなくて、「こうしなきゃいけないかも」と思って曲を作ることが多くなっちゃったりして。結成したての高校生のときは音楽を楽しむことを第一に曲を作っていたよねという話になって、その頃を思い出しながら3人で制作に挑んだアルバムだと思います。

楓華(B・Cho) (アルバムの曲は)3人だけでスタジオに入って曲を作り始める、みたいな流れだったよね。

紬衣 そう。去年の曲はほとんど、頭からプロデューサーさんがいて、チームで作っていく感じだったんですけど。

楓華 でも今回は3人だけでスタジオに入って、スマホのボイスメモで録って、また聴き直して、そのあとやっとプリプロに入る、みたいな感じで進めていきました。3人で楽しくやりながらも、過去イチ音楽に向き合って作ったアルバムだと思います。

──それは、紬衣さんが弾き語りとかで持ってきたものから3人で作っていくのか、それとも本当に何もない状態で3人でスタジオに入ってから作っていったのか──。

紬衣 私が持ってきたものからですね。でも今回、“レイニーデイ”に関しては彩楓が、“国道20号”は楓華が歌詞を書いたんです。

楓華 ついにです! 初めて書きました。

──え! 全然気づいてなかったくらい(クレジットは「作詞作曲:Conton Candy」)、てっきり紬衣さんの作詞だと思ってました。

彩楓 つむ(紬衣)さんの添削が入ってます。一度送らせていただいて(笑)。

紬衣 赤ペン先生?(笑)。でも歌詞のベースは、それぞれふたりが作ってくれました。特に歌詞が、やっぱりタイアップだとどうしても枠組みがあって「作品の物語を私たちが彩らせていただく」という形なのが、アルバムの曲に関しては自分たちの中で完結していて、そこがいちばん違う気がします。

楓華 (“国道20号”は)そのままの自分を書きました。本当にすっぴんです。相手のことを考えているけど、考えすぎて逃げちゃうような弱い性格の子をイメージしていて……私なんですけど。人に何かを伝えるのが苦手で、《本当の気持ちはどこ?》とか、自分の前を歩いている人の《背中をただ眺めている》とか、言葉が出てこないときは苦しすぎて《伝えられるかな》とか……歌詞そのままです、全部。しかもこの曲、伊豆スタジオで録ったんですけど、くるりの“In Your Life”も伊豆スタジオで作られていて、《国道20号》という歌詞で始まるんですよ。やばっと思って。つながっちゃった。

彩楓 これ、すごいんだよなあ。これを見たら「楓華だなって」思います。

──3人それぞれのすっぴんな表現が出ているのが、アルバムに新録された楽曲たちだということですよね。しかも彩楓さんが歌詞を書いた“レイニーデイ”は、リード曲にまでなるという。

彩楓 びっくりです! つむさんの添削があったおかげです(笑)。

紬衣 ふたりの曲が、ほぼ始まりと終わりくらいの位置にありますからね。

楓華 まさかの!

──“レイニーデイ”をリード曲にしようと思ったのは、どういうポイントでしたか? この曲を通して、Conton Candyのどんな一面を改めて世間にしっかりと伝えたかったのかを言葉にしてもらいたいなと思って。

彩楓 まず、3人のコーラス。この曲は、頭から三声で。あと、自分らの基盤に4つ打ちがある気がしていて、それもアレンジに落とし込めた曲なのではないかなって思います。

紬衣 新しいことに挑戦しつつも、自分たちが「これ、おもろいね」と思うものをベースに作れた楽曲な気がします。キャッチーだし、4つ打ち感の中に自分たちのやりたいことや作りたい世界観を入れられた気がしていて。個人的には、《反射したヘッドライト》からのDメロが好きです。もう解散されちゃったんですけどLILI LIMITというバンドが好きで、LILI LIMITとか、サカナクションとかにある、無重力になる感じ? イヤホンの中でゼログラビティを感じる瞬間って、ドキッとして、すごく好きなんですよ。一瞬、ふわっとする感じ。そういうのを自分の楽曲にも落とし込みたくて、Dメロは新たな挑戦であり、やってみたいことでした。

彩楓 あそこのブレイクのあとのパンッてスネア一打は、大きい雨粒がぽたんって落ちるイメージで音色を工夫しました。

紬衣 《キラキラ》のあとにシンバルが鳴っていたり、《雨粒の音》っていう歌詞の通りライドシンバルで雨粒っぽい感じを出してみたり、Conton Candyのちょっとした面白さ、ユニークさがこの曲には詰まっていて、そういうところが自分らのやりたいことや出していきたい世界観な気がします。

【インタビュー】前例のない3ピースバンドのスタイルを開拓中! Conton Candyが1年7ヶ月ぶりのアルバム『すっぴん』で本当の自分たちを見せる

──今回のアルバムを聴いて全体的に思ったことを言うと──当たり前なんだけど、Conton Candyは3人が主役なんだなっていう。リズム隊ふたりも面白いフレーズをどんどん入れてくるし、3人ともが声と楽器を使って歌っているみたいで。シンプルに言ってしまえば、やっぱり3人とも演奏が上手いし、これまで以上にアレンジが磨かれていることに感動したんですよね。

紬衣 ありがとうございます!

彩楓 アレンジは本当に、今まで以上に3人で詰めました。自分の楽器だけじゃなくて全体を見て「ここはこうがいいんじゃない?」って、それぞれがそれぞれのパートに言って、みんなで作れた感じがよかったなって思います。

楓華 《雨粒の音に乗って》のところのベースは、つむと彩楓に考えてもらったと言っていいかもしれない。

彩楓 確かに(笑)。

楓華 そういう感じで、それぞれのパートにみんなで意見を言うことが多かったからこそ、新しいアイデアがたくさん出てきたのかなって思います。

──どのパートに耳を傾けても楽しくて、周りを目立たせつつ自分も目立つという黄金のバランスで成り立っていて、3ピースバンドとしてのすごさを研ぎ澄ましているなと思いました。レコーディングでの音の録り方やミックスも新たに工夫されました? それこそドラムの音とか、すごくいいなと思って。

彩楓 ありがとうございます。今回はテックさんとめちゃくちゃ話して、「この曲はこういうイメージなので、こういう音色にしたいです」という話を今まで以上に細かくしました。それこそ“レイニーデイ”は、「ライドシンバルを雨の音にしたいです」とかもそうだし、4つ打ちの16のハイハットのクローズオープンが肝だったので、そこの歯切れの良さとかにこだわりました。生音に近い感じもあって、いい音で届けられたのではないかと思います。あとレコーディング合宿に行って、そこでエンジニアさんと過ごす時間も長かったからこその音かもしれないです。

【インタビュー】前例のない3ピースバンドのスタイルを開拓中! Conton Candyが1年7ヶ月ぶりのアルバム『すっぴん』で本当の自分たちを見せる

既存曲があまりにも強い中で、「アルバム曲もめちゃめちゃいい」って言ってもらえるように、「既存曲に負けない楽曲を書こう」っていうのがモチベだった(紬衣)

──プリプロ前に3人でスタジオに入る時間を作って、合宿もやって、そこまでちゃんと時間をかけて妥協なくこだわり抜きたいと思ったのはどういう思いからですか? 冒頭の質問に戻ると、どういう気持ちが今のバンドの強い原動力になっていたのだろうと思って。

彩楓 「1作目のアルバムを超えたい」という気持ちかもしれないです。それはたぶん、みんな一緒で。

紬衣 アレンジとかを考えるときも、思いつく選択肢以上のものを探すことをずっと頑張っていました。だからプリプロが終わるたびにロングのライブを1本やったくらいの疲労感で、ベッドにバタン、みたいな。毎回「ああ出し切った」ってなれるようにしようって、このアルバムを制作するタイミングではずっと思っていて。だから本当に、自分たちのやりたいこと、入れたいフレーズ、書きたい歌詞、なりたい自分とか、自分たちが今出せるものはすべて出し切った感があって、自分たちが納得いくConton Candyが詰まった1枚になりました。

彩楓 思考がミクロな世界に入りすぎて、ガン決まりすぎて寝られない、みたいになってたよね。

楓華 録ったデモを布団の中で聴いて「ここ、もっとよくなる」みたいなことを思って、ずっと聴いていたら4時とかで。「彩楓、起きてる?」って言ったら起きてて。(楓華と彩楓は双子)

紬衣 家の二段ベッドでそんな会話してたんだ(笑)。レコーディングのときとかも、楓華はまじですごくて。ひとりでヘッドフォンをつけながら、「ここ、あとほんのちょっと後ろにできますか?」とか言ってたり。「ここ、気持ち悪くないかな?」って聞かれるんだけど、「どこ? 全然気にならないけど」みたいな。本当、ミクロな世界でやってました。

楓華 「ミクロな世界に行っちゃってる」って言うのが流行ってたよね(笑)。

彩楓 「それも味じゃない?」とか言ってたね(笑)。

──改めて聞きますけど、そこまでやり抜きたいと思った原動力はなんだったんですか? 何がそこまで掻き立たせたのか。

紬衣 アルバムに収録される既存曲があまりにも強いというか、タイアップでお世話になった楽曲がほとんどの中で、その曲たちに負けないように、「アルバム曲もめちゃめちゃいい」って言ってもらえるように作りたくて。いろんなアルバムって、大体7、8曲目がいいじゃないですか?

楓華 わかる。

紬衣 意外と、序盤の曲よりも7、8曲目に入っているミドルテンポの曲がいちばんいい、みたいな。そういう楽曲をいっぱい作りたいと思っていて。メジャーな曲は既存曲で担保されている気がしていたんですよ。だから「アルバム曲もいい」って思ってもらうために、別角度から最高なものを作ろうという視点で曲を書いていました。「既存曲に負けない楽曲を書いていこう」っていうのがモチベだったし、気合いにもなっていたし、という感じですね。

──楓華さんは?

楓華 今までの自分を超えたかった。自分の根底にあるのが──歌がいちばん目立って、シンプルだけどすっと入ってくるベースがかっこいいと思っているし、それを弾いていたいんですけど。ルート弾きのベーシストも好きで、それじゃない人も好きで、そのふたつから自分を探し続けていた中で、ちょっとずつ見えつつもあり、前より成長できたのかなと思います。“爪”では初めてピック弾きをしつつ、このアルバムで1個考えていたのは、躊躇なくハイポジに行くこと。これまで挑戦してなかったことだったんですけど、やってみたら「こんなにも素晴らしい景色が待っていたなんて」っていう気持ちです(笑)。

彩楓 私も、「ずっとドラマーとして面白いことをやっている人だな」って思われることも目標としてあるので、誰もやってないようなことをできたらいいなと思って。自分の持っている特徴、フレーズ、センスとかをイチから見直して、自分から出てくるものを大事にしつつ、それをもっと超えていきたいという気持ちで作っていました。

次のページ最近ライブ写真を見ると、3人がマイクに向かって吠えている瞬間が多くて。3人がちゃんと演奏したうえで、ちゃんと歌っている。3人の全部でお客さんに届けているのが強み(彩楓)
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