Billyrromは2020年の結成当初から、「踊る」ことにこだわってきたバンドだ。メンバー自身が感応できるビートやサウンドとは何か? それをどういう形でオーディエンスに届けるべきか? そんな試行錯誤の中でついに掴み取った、自分たちだけのダンスミュージック。それが“Boogie”だ。
ぶつかることを恐れず、ダイレクトに意見を交わすことでたどり着いた“Boogie”について、彼ら自身の言葉で率直に語り合ってもらった。その中で浮かび上がるBillyrromというバンドの本質をしっかりと感じ取ってほしいと思う。インタビュー=森朋之
──まずは2月から4月にかけて初のアジアツアー「Billyrrom Asia Tour 2026 “Jupiter=”」について聞かせてください。大阪、東京、ソウル、香港、台北を巡るツアーでしたが、手応えはどうでした?Rin(G) フェスでは何度かあるんですけど、ワンマンでアジアを回ったのは初めてだったんですよ。同じセットリスト、同じ演出でも反応がまったく違って。すごく歌ってくれる国もあれば、自由に踊ってくれる国もあって、違うライブをやってるような感覚がありましたね。Leno(Key・Syn) 初めて行った香港もめちゃくちゃウェルカムな雰囲気で。こんなに受け入れてもらえるんだ?というくらいの熱量だったし、すごくやりやすかったです。東アジアに留まらず、いろんな場所でツアーをやれるようになるといいなと思いましたね。Yuta Hara(DJ・MPC) 日本語で一緒に歌ってくれる人も多かったし、全力で音楽を楽しんでくれているのを肌で感じて。今回のツアーで見た景色は今後にも活きていきそうな気がします。Taiseiwatabiki(B) 韓国はクラブカルチャーが根づいているせいか、踊り慣れている人が多い印象もあって。香港の人たちも自由に楽しんでくれていたし、文化の違いみたいなものも感じました。自分たちはやりたいことをやってるだけですけど、受け取り方が違うのは面白いですね。Shunsuke(Dr) 確かに楽しみ方や受け取り方は違ってましたけど、どの会場も一緒にライブを作ってくれてるイメージがあったんですよ。声もバンバン出してくれるし、まったく遠慮しないで来てくれる感じが気持ちよくて。新しいライブの方向性を見つけられた気がします。Mol(Vo) 想像以上に音楽は言葉を超えるんだなって実感しました。言語も文化も違うし、普段の生活もまったく違うんだけど、いざライブが始まって、バンドの音とか歌が鳴るとその違いが少しずつ溶けていくような感覚があって。音楽に身を委ねたり、楽しそうに笑ったり歌ったりしてるお客さんの姿を見ると、人間の根っこの部分は変わらないんだなと。単に海外でツアーをやったというだけではなくて、「人と人を隔てるものより、繋いでいるもののほうが大きい」ということを確認できた旅だった気がします。メンバー同士でいろいろと話しながら、自分たちのルーツや「Billyrromはどういうバンドのなのか?」についても考えました(Rin)
──そして5月25日にはメジャー1stシングル“Boogie”がリリースされました。Billyrromにとっても大きなポイントになる楽曲だと思いますが、どんな制作プロセスだったのでしょうか?Rin かなり長い時間をかけたんですよ。メジャーデビューが節目のタイミングだというのは自分たちも感じていたし、メンバー同士でいろいろと話しながら、自分たちのルーツや「Billyrromはどういうバンドなのか?」についても考えました。そこで出てきたのが「ディスコ」だったんです。ブルーノ・マーズやアース・ウインド&ファイアーとか、メンバーが共通して好きな音楽の根っこにあるのはディスコミュージックじゃないかなと。そこからMolが作ったデモをもとにして制作しはじめて。Taiseiwatabiki ボコーダーのフレーズとギターのコードだけの数十秒くらいのデモがあって、それをみんなで話し合いながらアレンジして。メジャーデビューのタイミングだし、たくさんの人にリーチできるはずだし、できるだけ規模感が大きい曲にしたかったんですよね。Mol デモ音源を作ったのは3年くらい前なんですけど、その頃は70年代、80年代のテイストを取り入れることが多かったんです。“Boogie”のデモ音源も最初はコテコテの感じだったんだけど(笑)、みんなからいろんなアイデアが出てきて、どんどん形が変わって。1を100にできた感覚があります。Leno めちゃくちゃ難産だったんですけどね。6人全員が「これがBillyrromだよね」と思える曲にしたかったし、そこに至るまでに価値観の違いみたいな争いもありましたね。
──とことん話し合うバンドですからね。Rin そうですね(笑)。Yuta Hara 曲によっても違うんですけど、「今の日本のシーンはこういう感じだから」とか「自分たちが本当にやりたいことってなんだろう?」って話すこともあって。リファレンスを出して「このサウンド感を取り入れるのはどう?」というやり取りもあるんですけど、今回はメジャー1stシングルということもあって、より密度の濃い会話になったと思います。Leno 何にいちばん重きを置くべきか迷うところでもありました。インパクトなのか、新しさなのか、そこをすり合わせるために何時間も話し合って。“Boogie”は僕たちのルーツ感とBillyrromらしさとポップスがかけ合わさった曲なんですけど、そこに至るまでにすごく時間がかかりました。Taiseiwatabiki アレンジ的にはすごくシンプルなんですけどね。音数もこれまでのBillyrromの曲の中でもいちばん少ないかも。Leno 鍵盤もいちばん弾いてないんじゃないかな。他のメンバーもそうだと思うんですけど、最近はやりすぎない美学みたいな傾向が強くなってて。最近のポップスはちょっとハイカロリーすぎると思うんですよ。そういうかっこよさもあるんだけど、俺らはバンドだし、ライブで演奏することを考えても音数を抑えたほうがいいなと。“Boogie”のサビのあと、ベースとシンセベースがユニゾンしているパートがあるんですけど、そこも最初はもうちょっとゴチャゴチャさせるつもりだったんです。でも「このベース、かっこよくない? これだけでいいじゃん」ってなって。Taiseiwatabiki その部分のアレンジはMol主導で進めてくれたんですけど、マジで超シンプルになりました。弾きやすいフレーズなんですけど、逆に「これは誰もやらないだろうな」と思って。実際にやってみるとすごくかっこよかったし、自分としても新鮮でした。Leno ディスコって、ベースのリフが目立つ曲が多いでしょ? それをようやく自分たちなりにやれたんじゃないかな。Taiseiwatabiki うん。ルーツを踏襲しつつ、新しさが感じられる楽曲になったというか。Yuta Hara DJスクラッチでボコーダーの音を出しているのも新しいのかなと。そこも現代風にアップデートできていると思います。──Shunsukeさんはどうですか? ビート感もキモだと思うんですが。Shunsuke これはずっと探ってきたことでもあるんですけど、バンドとして制作を続けていく過程で、美学みたいなものがやっと固まってきた感じがあって。“Boogie”のビート感もそうだし、曲全体もそうなんですけど、美しいと思えるポイントをちゃんと押さえられるようになった曲だと思います。1stアルバム『WiND』、EP『Jupiter=』を経て、ようやくここまできたのかなと。バンドとして制作を続けていく過程で、美学みたいなものがやっと固まってきた感じがあって(Shunsuke)