サウンドコラージュの異才:アヴァランチーズに直撃! リヴァース・クオモ、ジェイミーxx、細野晴臣、池田亮司etc. 豪華ゲスト陣との化学反応が生んだ最新作『ノー・バッド・メモリーズ』に迫る

サウンドコラージュの異才:アヴァランチーズに直撃! リヴァース・クオモ、ジェイミーxx、細野晴臣、池田亮司etc. 豪華ゲスト陣との化学反応が生んだ最新作『ノー・バッド・メモリーズ』に迫る

無数の音の断片を拾い集め、新たな物語を創造するサウンドコラージュの異才:アヴァランチーズ。2000年のデビュー作『シンス・アイ・レフト・ユー』で世界中の音楽ファンを魅了して以来、サンプリングの果てなる可能性を追求し、ノスタルジーと多幸感に満ちたダンスサウンドを生み出してきた彼ら。オリジナルメンバーのロビー・チャター、トニー・ディ・ブラシに加え、新メンバーとしてアンドリュー・セケレスを正式に迎え、約6年ぶりの新作『ノー・バッド・メモリーズ』をリリースした。膨大な数のCMソングや企業ロゴ、果てはハードディスクやコンピュータの起動音(!)まで引用したという本作。彼らのユニークなサウンドの源泉から最新作に込めた思い、そして尽きることのない創造への情熱まで、アヴァランチーズの核心に迫る。インタビュー=土屋聡子/撮影=北川裕也

●今作『ノー・バッド・メモリーズ』では膨大な数の広告ロゴやサンプリングを用いたマキシマリズム極まる作品で、アヴァランチーズ節全開の仕上がりでしたが、具体的にどのようなきっかけで今回のテーマに至ったのでしょうか。最初のインスピレーションについて教えてください。トニー「自分たちはサンプリングを使ってるアーティストなので、常に記憶というものに意識が向いていて、過去の古い音源を使ってる。そこには必ずその時代背景であり何かしらの意味があるわけで、つまり、自分たちの手元に届く前にすでに人生を生きているんだよね。そういうことが常に頭の片隅にあって……。ただ、今回の作品はよりパーソナルな記憶の探求のような、自分たちが育った環境の中で目にした広告や商品がどれだけ自分たちの人格形成に作用してるのかについて考えていて。若い頃って、どのメーカーのスニーカーを履いて、どのバンドのTシャツを着るのか、そうしたもの全部が自分のアイデンティティを表現するための一部だったわけで。そこから消費社会や自分たちが今生きている現代社会について突き詰めて話し合っていく中で、徐々に今回のテーマに導かれていったというか」ロビー「そうした構造の中で、広告がどんな役割を果たしているのかみたいなことも含めてね……えーっと、もう一つの質問って何だったっけ?(笑)」●最初のインスピレーションについても教えていただけましたら(笑)。ロビー「というか、そもそものエネルギーの方向性でいったら、もっと楽しもう、もっとアップテンポなフレーズをブチ込んでいこうっていう、そういうモードから来てるよね」トニー「前作がどちらかというと内省的で、テンポもスローで全体的にドリーミーな感じだったんで、今回はとりあえずその枠から飛び出して、 クレイジーでワクワクするようなエネルギー全開で若々しさに満ちた作品を目指してたし、その方向性は最初からきちんと定まってたね」
サウンドコラージュの異才:アヴァランチーズに直撃! リヴァース・クオモ、ジェイミーxx、細野晴臣、池田亮司etc. 豪華ゲスト陣との化学反応が生んだ最新作『ノー・バッド・メモリーズ』に迫る - 左からAndy Szekeres、Tony Di Blasi、Robbie Chater左からAndy Szekeres、Tony Di Blasi、Robbie Chater

●一方で、制作においては従来のドラム音をハードディスクの起動音やコンピュータの動作音などに差し替えるアプローチを取ったりと、途方もない作業の連続だったかと想像します……。ロビー「このへんについてはトニーがもっと詳しく話してくれると思うけど、 サンプリングの権利問題をクリアするのに本当に苦労してね。しかも、昔よりももっと厳しくなってる。ただ、そのハードルが同時にすごくクリエイティブな挑戦にもなって、オーディオタグだの、ゲーム音楽だの、CM用の短いフレーズを制作していく過程で色々学んでいく中で、新たな領域を開拓できたし、実際にそれを試してみるのもまた楽しくてね。特にアンディなんかシンセサイザーまわりについての知識が豊富だから、今回の作品はまさにパーフェクトな機会だったし、いかにして完璧なオーディオタグを作るという、それこそ80年代や90年代にあったような未来やステレオハイファイを象徴するようなサウンドをたった3音でどう表現していくのか?ってところなんかね」トニー「CM用のフレーズって、《ハッピーなんちゃら~》みたいな感じのね、《タン、タン、タン~》っていう、その3音くらいの中で伝えたいことをすべて伝えるにはどうしたらいいか?というね」アンドリュー「自分は前作からの参加なんで、前作との比較でしか語れないんだけど、今回のアルバムはコンセプト的に本当に色んな方向へ枝分かれして発展していく可能性があって、『広告』っていうテーマだけでもどこまでだって深掘りできるわけで、それを最大限に探りたいという気持ちもありつつ、どこかで歯止めをかけないとキリがないっていう気持ちのせめぎ合いで。それこそオーディオタグをえんえんと作り続けていくこともできたし、ロビーはスタートアップ音やクリック音をひたすら作り続けてて、それがパーカッションの一部になったり、そこから新たに架空のCMサウンドが生まれていって『ついでに架空の製品も作れるんじゃない?(笑)』って感じで盛り上がったり。何しろ広大で豊かでありとあらゆる方向に発展させていける可能性を秘めてるから、単に音楽を作るのとは別の意味で苦労したというか、いろんな方向性に転がっていけるから、 それをどこまで広げていくのか?っていう……まあ、最終的には何とか一つにまとめる上げることができたけど(笑)」ロビー「ここまでさんざんやり尽くしたら『次どうする?』って問題が出てくるよね(笑)」アンドリュー「こうなったら次は思いっきりシンプルな方向に振り切れるしかないかな」トニー「王道ラブソングなんかはどう?(笑) 次回はシンプルにラブソングで攻めるっていう(笑)」●(笑)。メンバー3人の役割分担としてはどんなふうに進めていったのですか?トニー「役割分担とかはあまり意識してないよね……というか、それが良いところでもあって。基本、各々が好きなことをやるみたいな体制だからさ。というか、少なくとも自分個人の感想としては。とりあえず、常に何かしらのアイデアなり進行中の作業を抱えてて。実際のところどんな感じだったっけ?」ロビー「いや、わかんない。誰がどの担当とか割り振りがあるわけじゃないから……」アンドリュー「そこは本当に説明しづらいところで、どの制作段階の話をしているかによっても違ってくる。基本、ただひたすら曲を作ってるだけなんだけど、今回みたいな性質のアルバムになると、ある程度の段階までいったところで、そこに付随して必要な作業が発生してきて、それにより特定のタスクを仕上げることに集中する期間が途中で入ってきたり……。ただ、基本的には計画を綿密に立ててたわけじゃないっていうか、別にボードに書き出してたわけじゃないし。まあ、ロビーは付箋に書き出してたのかもしれないけどさ(笑)」ロビー「何しろポストイット魔なんでね(笑)。とりあえず何でもかんでも付箋にメモしないと気が済まないんだ(笑)。とはいえ、お互いに暴走して脱線しすぎないようにある程度のところで手綱を引くようにはしてたけど……その一方でアンディがわずか数秒のチャイムの音だのオーディオタグだのみたいなものを何週間もかけて作り続けてて、それがⅤHS時代の映画会社のタイトルロゴみたいな音に発展していったり、トニーはアルバムの曲順を決めるのに没頭していてる傍らで、自分はミックスだったりアートワークまわりの作業を中心にやってたり」トニー「制作過程のどの段階かにもよるよね。『自分がこっちをやるから、代わりにこっちやって』みたいな形で」
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