アニメ『SAKAMOTO DAYS』の初回放送で、Conton Candyの“普通”がエンディングとして流れるのを聴いたとき、なんて優しくて愛に溢れた曲なんだろうと感動した。誰が聴いてもすぐに「主人公の坂本を想う妻の葵目線」で綴られた歌詞だとわかる物語への寄り添い方には作品へのリスペクトを感じるし、そのストーリーから一歩離れたときにも、「普通とは何か？」ということを改めて考えさせられる、誰もが受け取りやすい楽曲になっているのも素晴らしい。


だから、紬衣（Vo・G）から「“ファジーネーブル”が本当にセンスがあってバズったのか、タイミングがよかっただけなのかを、自分の中ではっきりさせたかった」という発言が飛び出したときには驚いた。“普通”を聴くだけでも、Conton Candyのバンドとしての地肩の強さや引き出しの多さ、ジャンルを飛び越えてリスナーを受け入れることができる間口の広さは十分伝わるはず。そのくらい“普通”は強い曲だ。
だけどインタビューを読めば、なぜConton Candyが「器の大きいバンド」であるのかをより深く理解することができるので、ファンの方だけでなく、“ファジーネーブル”以外あまりちゃんと聴いたことがないという人にも、ぜひ発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』4月号でConton Candyの本当の姿を知ってほしい。

そして、取材後にリリースされた新曲“恋”もぜひ紹介したい。


“普通”のインタビューでも紬衣の歌詞について「しっかりしてる姿の奥にある少女らしさ」というのがキーフレーズとして上がっていたが、まさにそれを体現している歌詞だと思っている（共感してくれるリスナーもきっと多いはず）。
《涙を雪に変える／だから私は春を待てる》──『SAKAMOTO DAYS』の葵目線とは全然違うけどどこか重なる部分がある、健気だけど一途な強い想いを描いた歌詞が、この春たくさんの恋する人の背中を押すのだろうなと想像するだけで心が暖かくなった。（有本早季）

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