①ロングスカートは靡いて
軽音部内にて結成後まもなく、高校2年生の頃に作った曲。音楽配信サイト「Eggs」年間ランキングのアーティスト別・楽曲別ともに1位を獲得、Spotifyバイラルチャートにもランクインするなど、Conton Candyが世間に見つかるきっかけとなった曲である。今もセットリストの定番曲となっており、ライブではエモーショナルさがさらに爆発し、サビに入れば拳が突き上がり合唱も巻き起こる。この曲で表れているような複雑なコーラスを美しく歌いこなして生み出されるハーモニーも、Conton Candyの持ち味だ。②好きなものは手のひらの中
《こんなにも君が幸せそうだからさ/明日になるまで帰したくないのです》から始まり、会いたい人へ会いに行く瞬間を表した楽曲だと思いきや、《ドリンクと引き換えに》というたった一言で、ライブハウスの景色がパンッと脳内に広がる。そんなところからも、紬衣のリリックのセンスが光る。Conton Candyの3人がもともとリスナーとしてライブハウスという場所を必要としていたからこそ歌える想いと、自分たちがバンドマンとしてステージに立ったときに聴き手に対して抱いている責任感や愛情を表現し尽くした曲。ライブではよりパンクテイストが際立った演奏へと変化し、この楽曲で締め括られることも多い。③ファジーネーブル
Conton Candyがより多くの人に知れ渡るきっかけとなった曲。SNSにはダンス動画やカバーだけでなく、この楽曲を使った多種多様な動画が上がり、「TikTokトレンド大賞2023」にもノミネートされるほど、正真正銘の「バイラルヒットソング」となった。SNSでバイラルしたサビは甘さやフレッシュさが弾けるが、実は全体を聴けば、苦味が漂う楽曲であることに気づく。まるで口に入れた瞬間は甘さを感じるが、その奥には苦さがある、ファジーネーブルのように。恋における喜びと切なさ、離れたほうがいいとわかっている苦しさとそれでも許したり好きになったりしてしまって感じる甘さなどを、歌詞だけでなく、各楽器のフレーズや転調などを巧みに活かしながら描いてみせている。《許すたび 心まで/オレンジ色に染まる》と《オレンジに染まった5%の想いは/私の思い出に溶けてしまう》といった描写も、想像を掻き立てられるだろう。④リップシンク
高校2年生の夏に誕生した曲。ファンから音源化が待ち望まれていた中、2023年にリリースのEP『charm』に初めて収録された。アレンジは当時のものに近いまま仕上げられており、青春の輝きが封じ込められている。同時に、それぞれのセンスがいかに早い時期から成熟していたかも感じ取ることができるだろう。最後の広がっていくコーラスにも3人のこだわりが丁寧に詰まっている。《どんどん暴かれていく素性と/だんだん分からなくなってく感情が/混沌としている フリーなスタイル》というフレーズは、少しずつ自分の素をステージ上でおおっぴらにしながら混沌とした感情もますます自由に表現するようになっている、Conton Candyのその後の歩みを予言しているかのようだ。⑤BABY BABY
Conton Candyにとって特別大事な一曲。紬衣が敬愛する銀杏BOYZの名曲“BABY BABY”と同タイトルを、自身のバンドで堂々と掲げてみせた。そのためには相当な度胸と覚悟が必要だったはず。峯田和伸の綺麗事抜きで心に寄り添ってくれる歌に救われた経験を胸に、次は自分の音楽で誰かを救いたい、といった決意が込められている。《“言葉”という魔法を覚えていてね》の一行には、紬衣が「言葉」には人の心を軽くし、「明日も生きよう」と思わせられるほどの力があることを知っていて、次は自分がそんな「言葉」をかけられる人間になりたい、といった想いが凝縮されている。最後の《BABY BABY》のシンガロングがフロアで育っていけばいくほど、あまりに美しい光景が生まれるだろう。現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にConton Candyが登場!
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