【知りたい】reGretGirlの一途に紡がれるラブソングに私たちが心奪われる理由

【知りたい】reGretGirlの一途に紡がれるラブソングに私たちが心奪われる理由
バンド名のreGretGirlとは、いつか有名になって自分をフッた彼女を後悔させたいという想いで名付けたという。そんなreGretGirlの始まりは、全曲の作詞作曲を手がける平部雅洋(Vo・G)が、つき合っていた彼女にフラれたことがきっかけだった。結成は2014年。彼らが初めて大きな注目を集めたのは、2017年に公開された“ホワイトアウト”のミュージックビデオだろう。当時、ほぼ無名だったにも関わらず、そのミュージックビデオが10ヶ月で100万再生を記録(2019年11月現在では1538万再生を記録)すると、その年に初となる全国流通盤ミニアルバム『my』をリリースする。


『my』というその作品のなかで、平部は一貫してひとりの女性への未練を歌った。《君にすがりついて/大きな声で泣き出す始末》と、別れを告げられた日の情けない自分を歌った“ホワイトアウト”からはじまり、《君》がいない部屋の空虚さに心を痛める“デイドリーム”は、その翌日の歌だ。ほかにも、ふたりの思い出の地をひとりで訪れてしまう“二色浜”、すれ違いはじめた日々の切なさを歌った“クラムジーミーツ”など、全曲が実体験に基づく楽曲たち。そのミニアルバムの最後は、ふたりで過ごした部屋から彼女が荷物を運びだす“room”で終わる。のちに平部は今作を振り返って、「当時の曲は、まだ別れたばかりだったから生々しかった」と言っていたが、自身の傷を抉るように紡がれるリアルな楽曲たちは、だからこそ多くの人たちの共感を呼んだ。


以降、2018年リリースの『take』、2019年リリースの『soon』というミニアルバム三部作をとおして、reGretGirlは、同じ元カノのことを歌い続けている。特に『take』は、出会ったころの幸せだった日々や、いつの間にかすれ違いはじめたふたりの関係性について、何度も過去の記憶をめぐり、「あのとき、こうしていれば、結末は変わっただろうか?」と、ひたすら自問自答を繰り返す。その切なさが顕著に表れているのが、《「また僕を好きになりますように」と願っているだけ》と絞り出すように歌う “Shunari”や、《いっそのこと出会わなければよかったかな》と締めくくる“黒鳥山公園”だ。なかでも、前作『my』の“二色浜”と同じく、ふたりの思い出の場所を歌った“黒鳥山公園”では、あえて実在する地名をタイトルに置き、《予測変換にいちいち君の名前がでてくるから/もうマ行を押すのが怖くなったよ》という同時代的な表現を使うことで、圧倒的なノンフィクション感がある。そのほか、「ピアス」という共通のモチーフをテーマに男女ふたつの目線で歌った“よわむし”や“ピアス”のほか、コミカルなタッチで「彼女と結婚していたら」という妄想を爆発させる“(L)ONLY”など、前作『my』に比べて、より多角的な視点で「ふたりの過去」が浮き彫りになるのが、2枚目の『take』だ。


そして、三部作の完結編が最新ミニアルバム『soon』となる。その1曲目“12月29日”は、誕生日にフラれたという切ないエピソードから幕を開ける。この曲だけを聴くと、フラれて「終わった」ようにも感じるが、前作『take』の“Shunari”のなかで、《誕生日にフラれかけた》と歌っていることからもわかるとおり、実は、のちにふたりはよりを戻すことになる。そんなふうに、この三部作には、他の曲で出てきたエピソードが、別の曲で出てくる、ということがよくある。他にも、『my』に収録されていた“room”で、荷物をまとめて部屋を出たふたりが駅で別れを告げるシーンが『take』の“イズミフチュウ”という曲であり、その駅は『soon』の“おわりではじまり”にも登場するのだ。また、『my』や『take』から数年を経たこともあり、『soon』の楽曲たちは、これまでより俯瞰的に描かれているのも印象的だ。たとえば、すべてが真っ白になった“ホワイトアウト”の絶望を過ぎて、「僕が別の誰かを好きになってもいいのかい?」と問いかける “白昼夢から覚めて”や、《こうやっていつまでも自分の事/歌われる気分はどう?》とぶっちゃけてしまう“soak”といった楽曲が生まれたのも、時間によって少しずつ傷が癒されつつあるからこそだと思う。そんな『take』 は、思い続けた元カノと同窓会で再会する“おわりではじまり”で締めくくる。歌詞のとおり、実際に、平部は彼女の目の前で泣いてしまったそうだが、どこかで「終わり」を受け入れつつも、《でもまた今日から新しいふたりで/始まったりしないかな》と、淡い期待を捨てきれないまま三部作に幕を下ろす一途さがreGretGirlらしい。(秦理絵)

※記事初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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