【知りたい】アンジュルム、常に進化しながら戦国時代を勝ち抜いてきたその闘いの歴史について

【知りたい】アンジュルム、常に進化しながら戦国時代を勝ち抜いてきたその闘いの歴史について
女優・蒼井優が、南海キャンディーズ・山里亮太との結婚会見で「その界隈のお友達からは(自分たちの結婚を)アンジュルム婚と呼ばれていて、とても光栄です」と発するなど、ガールズグループに詳しくない方々でも一度は「アンジュルム」という名を耳にしたことがあるのではないだろうか。

まず彼女たちが所属する「ハロー!プロジェクト(通称:ハロプロ)」は、確かなダンス力と歌唱力のあるグループしか存在しない。加えてクールさもセクシーさもキュートさもパワフルさも持ち合わせているという隙の無さに、どのグループのライブも観たあとに感嘆のため息が零れるばかりだ。プロ意識の高さがクオリティの高さと直結しているグループの集合体とも言える。

そのなかでのアンジュルムの個性や魅力とはいったいどんなものだろうか? 彼女たちの活動の歩みを振り返りながらそれを紐解いていこう。


①すべてはここから始まった! 研修生ユニットから生まれたスマイレージ時代

2009年4月、ハロー!プロジェクトの研修生・ハロプロエッグ(現在の「ハロプロ研修生」)内のユニットとして結成される。新人公演でのパフォーマンス力、定期的に行っていたレコーディングテスト、ハロプロエッグ活動におけるトータル実績を踏まえてプロデューサー・つんく♂が直々にメンバーを選出。当時のメンバーは和田彩花、前田憂佳、福田花音、小川紗季の4名で、結成の時点から同年度内にメジャーデビューを目指すことが決定していた。

その翌月、ユニットは「S/mileage(スマイレージ)」と名付けられ、またその翌月にあたる6月にはインディーズデビュー。11月からは本格的にメジャーデビューへの道を進み始め、技術面をメジャーアーティストとして遜色ない次元まで磨き上げるも、翌年2月につんく♂から「約1ヶ月で1万枚以上の笑顔の写真を集めてモザイクアートを作る。成し遂げられない場合はメジャーデビューは未定に」という試練を与えられる。それは「アーティストに必要なものは技術だけではない」というメッセージだった。

4人はインターネットを用いた協力要請や、街頭での呼びかけなどを精力的に行い、その甲斐あって約16,000枚の写真を集めることに成功。5月に晴れてシングル『夢見る 15歳(フィフティーン)』でメジャーデビューを果たす。歌謡曲テイストのメロディ、《15歳》というワードが出てきているのにもかかわらず15歳とは思えぬ含みのある歌詞、4人のフレッシュでありながら落ち着きのある佇まいは、正統派でありながら異彩を放っていた。

同年12月には「第52回日本レコード大賞」の最優秀新人賞を受賞。その後もこの4人で順調に進んでいくかと思いきや、翌年の2011年5月に突然の増員発表が。そこから7ヶ月間でサブメンバーの加入、小川の卒業、サブメンバーの正規メンバー昇格、前田の卒業という怒涛の時期が続き、2012年からは和田、福田、中西香菜、竹内朱莉、勝田里奈、田村芽実の6人体制で活動がスタートした。

その期間にはラップを盛り込んだ“ええか!?”、歌謡メロを物憂げな表情で歌い上げるも緩急の効いたダンスで魅了する“「良い奴」”、6人の一体感で魅了するセクシーさとクールさを兼ね備えた歌唱とダンスが挑発的な“ミステリーナイト!”など、グループのポテンシャルを広く開発していく楽曲が多数生まれていた。2014年7月にはこのメンバーで初の日本武道館公演を開催。結成から荒波を乗り越えながら過ごした5年間の、記念碑的1日となった。


②アンジュルムへの改名から和田彩花卒業発表までの変革期

こうして順風満帆といったフェーズに突入した彼女たちに、ほどなくしてまたも転機が訪れる。メンバー増員と改名だ。2014年秋に室田瑞希、相川茉穂、佐々木莉佳子を加えた9人体制になり、12月に「スマイレージ」から「ANGERME(アンジュルム)」へ。翌年の2015年2月には、9人編成&アンジュルムとして初のシングル『大器晩成/乙女の逆襲』をリリースする。

“大器晩成”はホーンセクションやストリングスが取り入れられたアップテンポのファンク、ディスコチューンで、MVの衣装もスマイレージで特徴的だったミニスカート×ショートブーツから一新。とはいえメンバー一丸となってショーのように展開するダンスパフォーマンスは健在で、楽曲の華やかさやグルーヴ、個々のキャラクターをさらに引き出していた。

同年11月に福田花音が卒業し、上國料萌衣が加入。オリジナルメンバーはリーダーの和田のみとなった。翌年2016年には5月に田村芽実が卒業し、7月に笠原桃奈が加入。アンジュルムとして活動を始めてから、メンバーたちはパフォーマンスの成長や音楽性の拡張を見せつけつつも、メンバーチェンジやメンバーの離脱などがあり、グループとして地に足がついた状態で活動するにはもう少し時間を要する状況だったように思う。

そんななか2018年4月に発表された、和田の2019年春ツアーでの卒業。2016年12月からはハロー!プロジェクトのリーダーとしても活動していた、グループ唯一のオリジナルメンバーでありリーダーである彼女が去るという事実は、グループにおいて大きな起爆剤となった。


③そして現在~未来。彼女たちはこれからも己の道を走り続ける

アンジュルムとハロプロを牽引していた和田の卒業発表から卒業までの約1年2ヶ月で、グループはより結束を強め、力強さを増していく。その熱に感化されるように、蒼井優と菊池亜希子がムック本の編集長として立ち上がり『アンジュルムック』が制作されるなど、アンジュルム熱は外部まで拡大。このタイミングで「アンジュルムが面白いらしい」と興味を持った人々も多いのではないだろうか。

卒業発表から1ヶ月後にリリースされたシングルに収録された“泣けないぜ・・・共感詐欺”は、スマイレージからのトレードマークであるミニスカート(ショートパンツ)×ヒールの高いショートブーツでパフォーマンス。《ひとりひとつの人生に ひとりひとつの感情》や《あなたたちの輪に入らない》、《オリジナルの衝撃に 泣け》などの歌詞も、和田の選択を尊重する面や、女子の凛とした強さを封じ込め、彼女たちをひときわ輝かせた。

そして和田にとって最後のシングル(結果的に2019年9月に卒業した勝田里奈にとっても最後のシングルとなった)が『恋はアッチャアッチャ/夢見た 15年(フィフティーン)』。“恋はアッチャアッチャ”はオリエンタル/インドのムード漂うダンスナンバー。アジアのメロディとガムランを彷彿とさせる音色に、《Accha Accha》という奇妙な言葉がリフレインするその様子は、モーニング娘。のヒット曲“恋のダンスサイト”にもリンクする。和田がアンジュルムだけでなく、ハロプロにとって重要な人物であることを再確認させた。

“夢見た 15年”は、和田と同期で2015年に卒業した福田花音が作詞を担当。歌詞や振り付け、MVにもメジャーデビューシングル曲“夢見る 15歳(フィフティーン)”のオマージュが散りばめられている。福田が和田と送った歴史だけでなく、意志の強さがむき出しになった強い言葉が並ぶ歌詞に、福田が和田とともに命を懸けて前を見て闘ってきたことが窺えた。盟友からの最高のエールは、彼女の新しい人生と、新しいアンジュルムの歴史のファンファーレとして煌びやかに響いた。

2019年12月25日現在、アンジュルムは2期メンバーの竹内朱莉がリーダーを、6期メンバーの川村文乃がサブリーダーを務める。和田の卒業後初シングル曲“私を創るのは私”は《過去は未来(あす)の踏み台なら》や《まっさらの第2章 熱く描こう》など、果敢な言葉が並んだものになった。同曲を含むシングルはグループにとって初のオリコン週間チャート1位を記録。和田の卒業を損失どころか追い風に変えてしまうグループのポテンシャルに舌を巻く。

今年12月にアンジュルムの名付け親である中西香菜が卒業。メンバーが流動的ということは、アンジュルムの常識を作っていくのはその時その時のメンバーであるということ。まさに「私を創るのは私」なのだろう。だがこの11年弱の期間、どの時代のスマイレージ/アンジュルムも、果敢なチャレンジを止めなかったことは変わらない。今後彼女たちがどんな勇敢な姿を見せてくれるのか、見逃せない。(沖さやこ)

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