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“Vertigo”はルーツである90年代のミクスチャーロックをこれまでのようにモダンに再定義するのではなく、ダイレクトに放出。ネットの誹謗中傷や同調圧力を客観的に綴った歌詞を乗せ、15周年EPの口火を切る。ラスト曲“whispers of the fake”は哀愁漂うブルージーなロック。分断やフェイクが蔓延する社会を憂う。冒頭と最後に新たな風を吹かす楽曲を配置したかと思ったら、2曲目の“Circles”は壮大なサウンドスケープを宿した王道のスタジアムロック。過去と現在と向き合ったうえで「人生は美しい」と受け止め、未来に向かっていく。3曲目“REACHING FOR THE SKY”は派手なスクラッチ音から始まり、ラウドなアンサンブルが疾走し、キャッチーなサビに抜ける。“Circles”と同様、過去と向き合いつつも不屈の闘争心を歌っており、MWAMの十八番と言っていいであろう楽曲だ。王道と革新を共存させたうえで、消えることのないロックならではの反骨心とロマンが隅々まで詰まっており、15年の厚みと地力を痛感する。(小松香里)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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