2020年に結成10周年を迎え、
ドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』の公開にはじまり、B面・カバー集やベスト盤のリリース、そして夏には苗場での野外フェス&ワンマンライブ「THE MISSION」の開催を控えるなど、ミッションが目白押しの
MAN WITH A MISSION。ロックミュージックとしてマスにもマニアックにも進化を遂げ、その楽曲やライブに高い評価を得ているバンドで、一見コワモテにも見える狼たちだが、それぞれフレンドリーなキャラクターを持ったメンバーで、その人柄ならぬ狼柄もまた人気のゆえんでもある。今回はそんな彼らのキャラクターを紐解いてみたい。(吉羽さおり)
■ジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)
メンバー内で唯一話すことができ、日本語、英語を操り、デビューからの10年でユーモアや絶妙な間合い、ツッコミや辛辣な切り返しが達者になって、ライブMCやインタビュー、メンバーの通訳なども行なうバンドのスポークスマン。カミカゼ・ボーイとともに多くの作詞・作曲を手がけているが、とくに90年代オルタナティブやパンクロックの香り高く、マニアックかつキャッチーな曲を書きマンウィズの奥深さを引き出す。その巧みなトーク同様に、王道で正統派のノリも、音楽やゲームなど多彩なカルチャーを引き合いに出してマニアのツボを刺激しまくるノリも冴えるのが、ジャンケンの曲だ。見分け方としては、少々しゃくれたアゴがチャームポイントだ。
■トーキョー・タナカ(Vo)
マンウィズ・サウンドを高らかに轟かせるパワフルでエモーショナルなボーカルを担う。音楽以外では、重機をも乗りこなし、また料理の腕も抜群という、まさに剛柔兼ね備えた狼だ。被災地支援を行なう「#サポウィズ」を立ち上げるなど、ボランティア活動に積極的なマンウィズだが、なかでも抜群の機動力で各地に足を運ぶのがトーキョー・タナカ。鬼怒川の水害に襲われた茨城県常総市で、2016年に開催した災害復興支援イベント「Dappe Rock’s」は
BRAHMAN・
TOSHI-LOW(Vo)の声がけで
THE BACK HORN、
MUCC、
SHADOWS、そしてマンウィズと茨城県にゆかりあるバンドが集結したが、この開催に尽力したのがタナカでもある。右側に出た舌が、見分けるポイント。
■カミカゼ・ボーイ(B・Cho)
ライブなどでおなじみのメンバーのキャラクターが垣間見える「MISSION動画」では何かとイジられることが多く、ドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』でもしれっとスタジオに遅刻する姿がバッチリと収められたボイさんこと、カミカゼ・ボーイ。数々のイジられエピソードとは裏腹に、ステージでは長身を活かしたダイナミックなプレイや、尖った牙でベースのネックをガウガウと噛むプレイで沸かせる。アリーナやスタジアムといった大会場では、誰より高い運動量でフロアを駆け巡ってライブを盛り上げるのも彼だ。シングル表題曲を多く手がけ、そのプレイ同様にマンウィズのタフで華のあるダイナミズムを曲にも落とし込んでいる。見分け方は、寄り目気味なフェイスと長身。
■スペア・リブ(Dr)
マンウィズ・サウンドの屋台骨を支えるパワフルなドラマー。メンバー内でいちばん小柄であり、つねに口が開いた笑顔や仕草で子供から大人まで「リブちゃん」コールを起こしアイドル的な人気を博している。その愛くるしさでついには、愛犬家のためのマガジン『いぬのきもち』にも登場してファンの裾野を広げることに貢献。しかし一度ステージに上がれば、ドラマーとしての卓越したプレイで魅せる。どっしりとしたヘヴィなバスドラを響かせ、タテ・ヨコのノリやグルーヴを司り、スタジアム級に響くスケール感溢れるサウンドを生み出している。
■DJサンタモニカ(Djs・Sampling)
マンウィズ・サウンドに、攻撃性や遊び心のひとひねりを加える、サンちゃんことDJサンタモニカ。初期の“FLY AGAIN”でのスクラッチや、“Mash UP the DJ!”、“Get Off of My Way”、“database feat.
TAKUMA(
10-FEET)”のような盛り上げ曲や、最近では“Hey Now”など、オールドスクールで職人的なスタイルから、音響使いのセンスでサウンドを幾重にも展開していくワザをも魅せる。ツアーを共にしコラボ曲も行なったUSミクスチャーバンド、
ゼブラヘッドのアルバム『Walk The Plank』(2015年)では、“Walk The Plank”、“So What”の2曲にDJとして参加した。左側に飛び出た舌が、見分け方。ちなみにドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』内で、狼専用翻訳機「ガウトーク」を通した口調は、キリッとしたサムライのようだった。