本日、音楽番組『MUSIC STATION』にシンガー・ソングライター、あいみょんが初出演する。歌う曲は、2017年8月にリリースされた3rdシングル曲“君はロックを聴かない”だと発表された。全国のAM&FMラジオ局でパワープレイされたこの曲は、ソングライター・あいみょんの豊かな筆致を味わえる1曲であり、青春とロックといじらしいほど真っ直ぐな恋心の黄金律に、ぎゅっと心を掴まれてしまう曲だ。
ロックなんか聴かない君と、そんなロックの曲たちを聴き《恋を乗り越えてきた》僕。寂しげにしている君を励まそうと、多くは語らずにレコードに針を落とすヒロイックな姿を見せつつも、そのレコードの溝に刻まれた僕の想いに気づいてほしいと願っている。きっと聴く人にとって、思い描くふたりの関係性は様々だと思うけれど、鼓動が聞こえてしまいそうなほど近くにいても、どこか手の届かない距離があるもどかしさ、切なさが感じられると思う。装飾を省いたとてもシンプルな言葉やフレーズで、シンプルなギターサウンドで、すぐに口ずさめるメロディで、風のような軽やかさを持った4分ほどの曲でいて、そこには今にも想いを言葉にしてしまいそうな緊張感も、切なさも、またふたりの甘美な世界も詰まった濃密な時間・ドラマが流れている。この4分の間に、ふと青春時代へ追憶の旅に出てしまう。そんな想像・妄想の余白がたっぷりとある。
現在22歳の、あいみょん。祖母はかつて歌手を目指し、また父が音響関係の仕事をしていたりと、音楽の溢れた環境で育ち、中学時代にソングライティングをスタートした。19歳のとき“貴方解剖純愛歌〜死ね〜”でインディーズデビューを果たす。ちなみにこの曲は過激な歌詞でラジオ局では放送NGとなった。メジャーデビュー曲となった“生きていたんだよな”(2016年11月リリース)は、死を通して生きることの執着を歌ったが、ビビッドな歌詞のタッチとアコースティックギターでソリッドに歌い上げるボーカルが相まって、死生観を歌に刻み発するセンセーショナルなイメージもあった。でも実際の彼女は、ただロックミュージックやポップスを愛し、本や映画、ファッションといったカルチャーを愛する女の子だ。世代の声を代弁したり社会を背負うことなく、今思うこと、興味あること、ドキドキすることをポップに形にしている。言葉や歌詞のフレーズが鋭利なのは、幼い頃から古今東西の音楽、アートに触れて、表現の研ぎ方を感覚的に身につけているからだろうか。ソングライターとして、シンガーとして、全身を使って描き、表現している。だからこそ誰のものでもない、あいみょんらしい歌になっている。
またメジャーデビュー以降は、アートディレクター・とんだ林蘭とのタッグでアートワーク、ビジュアルでもユニークで印象的なイメージを打ち出して、1stアルバム『青春のエキサイトメント』(2017年9月リリース)では、田中ユウスケ(agehasprings)、関口シンゴ(Ovall)、Michael Kaneko、Sundayカミデ(天才バンド、ワンダフルボーイズ)をサウンドプロデュースに迎えて、青春のあらゆるドキドキや、あのときのあの感じを鮮やかなままパッケージした。
今夜“君はロックを聴かない”を聴いて、心に触れるものがあったなら、ぜひアルバムにも手を伸ばしてみて欲しい。(吉羽さおり)
【知りたい】本日『Mステ』出演、あいみょんの歌が急速に人々を惹きつけ始めた理由
2018.02.16 18:30