2月21日に感覚ピエロが1stフルアルバム『色色人色』をリリースすると聞いた時に率直に思ったことは、「え、感エロってまだフルアルバム出してなかったっけ?」だった。早い/遅いという意味でそう感じたのではなく、そう思わざるを得ないほどに彼らのこれまでの歴史は濃厚で、パンチの効いたものなのだ。
2013年に大阪で結成し、同時期に自主レーベル「JIJI RECORDS」を設立して以降セルフプロデュースで活動している4ピースロックバンド・感覚ピエロは、2016年に“拝啓、いつかの君へ”がテレビドラマ『ゆとりですがなにか』の主題歌に抜擢されて話題になり、同曲のミュージックビデオのYouTube再生回数は現在なんと1,100万回を突破している。
キレのあるロックサウンドと一癖あるギターリフ、そして思わずこちらの頬が染まってしまうほどに艶やかで激情的な横山直弘(Vo・G)の歌声とのバランスで「エロティックでクールな、硬度の高いギターロックバンド」というイメージを世に放ちながらも、“O・P・P・A・I”というタイトルそのままの内容を歌うクレイジーラブソングをぶっ込み、周囲をあっと言わせた彼ら。さらにその後も“ワンナイト・ラヴゲーム”のMVが内容の過激さ故に、YouTubeチャンネルが一時凍結されるという異例過ぎる爪痕を残すなど、「感エロって結構バカなことをかなりマジでやっちゃう人たちだ……」という二面性を強く印象付けた。
そうして「エロ×ロック」、「バカ×マジ」での独特のポジションを確立しながらも、2017年に公開された映画『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』の主題歌として“疑問疑答”を書き下ろしたり、テレビアニメ『ブラッククローバー』のオープニングテーマに“ハルカミライ”を提供したりと、現在も怒涛の快進撃を続けている。
そんな彼らが満を持してリリースした今作『色色人色』でも、下ネタ全開の“A BANANA”のように「真面目にバカをやる」というモットーを貫きながらも、“0になって”や“変幻”のようなロックチューンも平然とぶっ込んでくるから、もはやどれが彼らの「本当」なのか分からない。何を考えているか読めず、遊び心があってちょっとエロくて、でも決めるところはしっかりキメてくる――という、完全に「モテる男」のやることをバンドでやってしまうのが感覚ピエロだなと思う。
そして、疾走感に乗せて純粋無垢で不器用な恋心を歌う今作のリード曲“さよなら人色”を聴いたら、これまでの彼らの楽曲には無かったさらなる新色が浮かんできた。彼らの潜在能力は未知数で、「何色にも染まることができる変幻自在なバンド」というのが感エロの強みだと改めて思える、1stアルバムに相応しい肯定力のある作品だ。さらに3月からは今作を携えての47都道府県をまわる全国ツアーも始まるので、そちらも是非チェックしてほしい。(峯岸利恵)
【知りたい】感覚ピエロが1stフルALまで突き進んだ「エロ×ロック」「バカ×マジ」のけもの道
2018.02.21 12:30