【知りたい】sumikaが武道館に立つまでの道のりと、その意義について

【知りたい】sumikaが武道館に立つまでの道のりと、その意義について
sumikaは今年5月に結成5周年を迎え、現在、全国ワンマンツアーの真っ最中。そのツアーも終盤に入っており、このあとは東京、京都、兵庫、大阪を残すのみ。今週末の東京公演は、日本武道館での2デイズである。

実際、ここ1〜2年くらいの間に、sumikaのライブに対するモードは一気に加速、そして作品をリリースするごとに、その動員規模も、ものすごい勢いで拡大していった。例えば東京でのライブを例に引くと、ちょうど2年前、2016年6月の『アンサーパレード』を引っ提げてのワンマンライブは赤坂ブリッツ。翌年2月の『SALLY e.p』のリリースツアーではZepp DiverCity TOKYO、そして満を持して一点の妥協もない1stアルバム『Familia』をリリースしたあたりから、sumikaは文字通りさらに大きなステージへと進み、東京国際フォーラム ホールAを即完売させるまでに成長を遂げた──。というような、わかりやすいキャパシティ論でバンドを語るのを、きっとsumikaのメンバーは快く思わないだろうなと思いつつ、あえてわかりやすく記してみたのだけれど、彼らの中には、そもそもそのチケットが完売したかどうかとか、会場が大きくなっていくことがバンドとしての誇りだとか、そんな思いは1ミリもないのである。

たとえば昨年、完売した国際フォーラムでのライブを終えたメンバーに、後日インタビューをした時(『ROCKIN’ON JAPAN』2018年1月号でのインタビュー)も、片岡健太(Vo・G)は、「本来なら、ライブに行きたいと思っている人が全員チケットを取れる状況にあるべき」と語っていて、ソールドアウトした状況についても「買う側としては、それが売り切れているというのは幸せな状況ではないから」とも言っていた。だからこそ「できるだけ観たい人みんなが観られるようにという視点で会場選びをする」と。かなり思い切った大規模の会場へと進んでいったのも、すべては「ライブを観たい」と思う人に残念な思いをさせないため──その一点に尽きるのである。このsumikaの姿勢を私は強く支持したいと思う。

さらに、先日リリースした最新傑作『Fiction e.p.』についてのインタビュー時(『ROCKIN’ON JAPAN』2018年5月号でのインタビュー)には、すでに今回の全国ツアーの日程が決まっていたため、「さすがに日本武道館でのワンマンは胸が熱いのでは?」と投げかけてみたのだけれど、荒井智之(Dr・Cho)は「ツアーの中のひとつとして捉えていて、あくまでもひとつの旅(ツアー)をやりきるのが目標」と語っていたし、黒田隼之介(G・Cho)も「ツアーの中で必ずしも武道館だけが特別というわけではない」と言っていて、どこまでいってもブレないsumikaの思いが嬉しかった。

では、だからと言って、sumikaのライブはすべて等しく同じ熱で行われるのかと言ったらまったくそんなわけもなくて、会場選びとそこで魅せるパフォーマンスとは、もちろん密接にリンクするし、その日、その場所でしかできないライブを、100%のパワーでやりきるのがsumikaだ。小川貴之(Key・Cho)が、「武道館サイズの会場でワンマンをやるのは初めてだから、どんなことを学べるだろうと、今からとても楽しみ。その場所に応じた自分たちなりのおもてなしをしたい」と語っていた通り、バンドは新たな場所での新たなコミュニケーションをいつでも新鮮な気持ちで楽しんでいる。さらに片岡は「武道館はほんとに『みんなが見える』ので、テンションが上がるだろうし、純粋に楽しみ」とも言っていて、日本武道館ならではの、広いのに近い、そして遠くても親密、な会場独特のマジックがsumikaのライブをどんな温度で感じさせてくれるのか、ほんとに楽しみで仕方がない。

結成から5年。途中、片岡の体調不良から活動休止を余儀なくされる期間もあった。そこからの見事な復活。そして復活後の、目を見張るような音楽性の成熟。いろいろな思いがリスナー一人一人の中にあるだろう。sumikaの音楽を求めるリスナーと、自らの音楽を決して裏切ることなく形にしていくチームsumika。片岡は先日のインタビュー(『ROCKIN’ON JAPAN』2018年6月号)で、その両者の関係性をもってして「両思い」なのだと語った。そんな幸せな関係性を、武道館という親密な空間で堪能できるのは、一リスナーとしてやはり特別なことだと思ってしまうことを、sumikaのメンバーには許していただきたいと思う。
この日本武道館のライブレポートを、後日また本サイトと、『ROCKIN’ON JAPAN』9月号(7月30日発売)とで、がっつりお届けする予定なので、ぜひ楽しみにしていてください。(杉浦美恵)

※本文内のインタビューコメントは、一部、当時誌面には掲載しなかった発言からも引用しています。
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