【知りたい】そらるの才能はネット発アーティストの歴史をどう変えていくのか?

【知りたい】そらるの才能はネット発アーティストの歴史をどう変えていくのか?
そらる」というアーティストを、テレビなどで見かける人も多くなっただろう。最近は、様々なタイアップで、メディア露出も増えてきている。それが特に顕著になったのは、自身の活動10周年の節目となった2018年のシングル『銀の祈誓』リリースからだろう。表題曲はアニメ『ゴブリンスレイヤー』のエンディングテーマに起用、そらるとしては初のアニメタイアップとなり、自身が作詞作曲を手掛け、オリコンウィークリーシングルランキング2位を獲得している。Twitterのフォロワーは130万人を超え(2019年5月20日現在)、ドラマや映画とのタイアップも次々と決まり、今年4月には幕張メッセでのワンマンライブ2デイズを大成功に収めるなど、この約半年のリリースや活動を挙げるだけでも、世間からの注目度が高まるのは必然だとわかると思う。


そらるは、2008年よりニコニコ動画にて活動を開始。いわゆる「歌い手」として、自身の「歌ってみた」動画などを積極的に投稿、エンジニアとしても活動してきた。動画再生数を伸ばしながら着実に人気・実力をアップしていく中、他の歌い手らともコラボするなどして最先端で活躍し、コツコツと積み上げてきたその成果は、現在のそらるの魅力の一端となっていると思う。
また、彼の歌い方もその魅力の一つだ。その歌声は、よく「イケボ」(イケメンボイス)と称されるが、素顔をはっきりと公開していなくとも、声だけで癒されるような耳心地の好い歌声は最大の魅力だろう。地声の力強さと柔らかな裏声による音域の幅の広さ、そして伸びやかなビブラートが相俟って、一つの楽曲の中での表現の幅がすさまじい。例えば、激しいボーカロイドの曲ですら、彼にかかれば一気に人間味を帯び、それでいて楽曲の特徴は活かしつつ、自分のものとして表現力豊かに歌い上げる。その原曲とのギャップが、また楽曲の良さを引き出して相乗効果になっていると感じる。
そのほかにも様々なアーティストのカバーなど、ジャンル問わずどんな楽曲でも丁寧に表現するからこそ、その姿勢が支持され、人気トップクラスの歌い手であり続けている。

そして前述したとおり、活動10周年を迎え、自身が作詞作曲をした楽曲で様々なタイアップとともにメディア露出を増やしているが、そのオリジナルの楽曲がまた素晴らしい。
そらるは、2012年に1stアルバム『そらあい』をリリース、それ以降、ソロのCDのほか、まふまふとのユニット「After the Rain」(「そらる×まふまふ」の頃から)の作品でも、自身が作詞作曲を手がけた楽曲が収録されている。
彼の楽曲は、幅広いジャンルの楽曲を歌ってきた経験がとても活かされており、そらるという表現者の魅力を余すことなく感じることができる。“銀の祈誓”は、儚げで伸びやかな歌声と力強さも内包した歌声で、前述した「表現の幅」がとてつもなく広い上、それによって世界観がとても鮮やかになっている。美しいビブラートは、叫ぶような歌声でさらに映えるし、柔らかな歌声との強弱の差が、ただキャッチーなアニメタイアップ曲というだけでなく、クオリティの高い楽曲として印象を残す。ドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』オープニングテーマとなった“ユーリカ”は、ドラマがゲームのプレイヤーを題材にしたラブコメ作品だったこともあり、序盤ではポップさを、サビでは柔らかなラブソングのイメージと、ドラマに見事に沿った楽曲になっているとともに、やはりここでもこれまで様々なジャンルの楽曲に触れてきた彼だからこその工夫やオリジナリティが散りばめられていることがわかる。


なお『映画 賭ケグルイ』の主題歌である最新曲“アイフェイクミー”は、まふまふとの共作となっている。まふまふらしい速いテンポで激しい印象と、After the Rainの時とはまた違う、アーティスト・そらるとしての楽曲に昇華され、映画の内容ともマッチしたヒリヒリした空気感に、高音で伸びやかな歌声が響くと、グッと引き込まれるような感覚になるほどだ。


彼のキャリアを振り返ってみると、今の「そらる」というアーティスト性がどう培われたかが理解できる。「既存曲をただ歌うのではなく、いかに自分のものとして、楽曲と自分の特徴の相乗効果を生み出し、さらに素晴らしいものに作り上げるか」ということを10年以上積み上げてきた結果が、顔を見せずともその歌声だけで引き込まれ、メディア露出が少なくとも一聴しただけで印象に残る、そんなアーティストにしたのだ。

その実直に活動してきた成果が背中を押し、ネットからさらに大衆のメディアへ進出したそらるは、今後も積極的にその活動の幅を広げ、さらにお茶の間に受け入れられるポップアーティストになっていくことは間違いない。(中川志織)
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