【知りたい】Saucy Dogの声・歌詞・メロディ三位一体の音楽に果てしない未来を感じる理由

【知りたい】Saucy Dogの声・歌詞・メロディ三位一体の音楽に果てしない未来を感じる理由
5月23日に2ndミニアルバム『サラダデイズ』をリリースし、さらにキャリア初となる全国ワンマンツアーもスタートさせた関西発の男女混合3ピースバンド・Saucy Dog。2016年度MASH A&Rのオーディションでグランプリを受賞し、昨年リリースされた1stミニアルバム『カントリーロード』に収録されている等身大のラブバラード“いつか”のMV再生回数は現在340万回を突破。昨年の年末フェス出演や2018年「スペシャ列伝ツアー」にも抜擢されるなど、昨今の活躍が著しいそんな彼らの音楽性は「声・歌詞・メロディの三位一体的サウンド」と例えられることが多い。


石原慎也(Vo・G)の少年的かつ透明度の高い【声】、20代前半の人間が感じるありのままの生活を歌った【歌詞】、そして石原、秋澤和貴(B)、せとゆいか(Dr・Cho)の3人が織りなす、シンプルかつ優しさが滲む心地好くて抜けの良い【メロディ】――音楽を構成する上で欠かせないこの三要素のどれかひとつが飛び抜けているのではなく、どの曲を聴いてもそれらがバランス良く共鳴しているのが彼らの音楽らしさだなと初めて聴いた時から強く思う。そして、先述したラブバラード“いつか”で奏で歌われる石原の恋愛事情が醸すその親近感が多くの人の胸に届いたことは間違いないし、あの曲がバンドに大きな転機をもたらしたことは紛れもない事実だ。しかしそこで「じゃあ恋愛に特化したバンドとしてやっていこう!」とバンドの方向性を一方向に固めなかったことが、Saucy Dogの素晴らしいところだ。“いつか”が生まれたのは、言ってしまえば石原が「その時、たまたま」恋愛の渦中にいたからであり、あくまで「その時に感じたことをそのままの鮮度で詰め込む」という曲作りであることがSaucy Dogの大骨であり大前提だ。だからこそ今作『サラダデイズ』は、普段の生活の範囲内で手の届く人に対しての想いを恋愛感情だけに留まらずに紡ぎ、鳴らしている。自分たちの枠を固めようとせず、もっと色んな想いを「Saucy Dogらしさ」として巻き込んでいきたいという意欲が漲っているバンドのモチベーションがひしと伝わってくる作品で、その前向きさに強く励まされた。

また、本日発売の『ROCKIN’ON JAPAN』7月号に掲載されているメンバー全員とのインタビューを担当したのだが、楽曲的要素のバランスのみならず3人のバランスもすこぶる良かった。「自分が歌いたいことを歌いたい!」という強い心根を持った石原に全く別の角度からのインスピレーションを与える秋澤、そして紅一点のせとがバンドを俯瞰しつつしっかりとまとめているその関係性の良さがあるからこそ、まだ発展途上の若手バンドといえど「この3人なら大丈夫だ」という安心感を抱かせることができるのだろう。これから更に活発になっていくであろう彼らの活動を、今後も是非チェックしてほしい。(峯岸利恵)

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