【知りたい】秋山黄色って一体何者? ネット発アーティストの中でも異彩を放つ魅力とは

【知りたい】秋山黄色って一体何者? ネット発アーティストの中でも異彩を放つ魅力とは
秋山黄色、というアーティストをご存知だろうか。

秋山黄色は、作詞・作曲・歌唱のほか、映像・イラスト制作も手掛けるマルチアーティストだ。彼のキャリアは、YouTubeやSoundCloudなど、ネット上で楽曲を発表するところからスタート。2017年12月からはライブ活動も行っており、2018年夏には「出れんの!?サマソニ!?」枠で「SUMMER SONIC 2018」に出演した。昨年には、“やさぐれカイドー”、“猿上がりシティーポップ”がSpotifyの多くのプレイリストで選曲され、バイラルチャート上位にランクインし、一躍話題となる。


しかし、ここでホームページのプロフィール欄を見てみても、栃木県宇都宮市出身の22歳(現在は23歳)であること、専門学校中退のフリーターを自称していること、TVアニメ『けいおん!』に影響され音楽を始めたことくらいしかわからない。そのため、突如現れた謎の存在だと囁かれているのだ。

今年1月にミニアルバム『Hello my shoes』をリリースした秋山黄色。YouTube上でリスナーからのコメントを見てみると、「広告をきっかけにこの動画に辿り着いたが、気づいたら最後まで聴き入っていた」という趣旨のものが多い(というか私も実際そうだったので、気持ちはよくわかる)。いったい彼の何が、多くの人々を瞬時に惹きつけることを可能にさせているのだろうか。

ひとつは、秋山自身の声だと思う。これはあくまで個人的な感覚だが、ネットカルチャー発のボーカリストには声の線が細いタイプの人が多い印象がある。そんななかで、腹の底から出したような、咆哮に近い歌声は新鮮だった。公式ホームページには『Hello my shoes』収録曲のセルフライナーノーツが掲載されているが、それを読む限り、秋山の歌は怒り・絶望・嘆きが起点となっているよう。「歌では嘘をつけない」と語る彼の感情をまっすぐに吐き出すようなボーカルは、たとえ画面越しであろうと生々しく感じられるのだ。

また、ギターのリフにも存在感がある。特に“やさぐれカイドー”に登場するリフはかなり個性的。絶妙なタイミングでハーモニクス(ポーンと突き抜けて聴こえる高音がそれです)を挟むことにより、メロディを打楽器的に響かせているのだ。元々秋山は、ギターを始める前にベースをやっており(といっても1週間ほどで触らなくなったそうだが)、音楽を本格的に始める前にはドラムをやってみたいと思っていたのだそう。そういった背景が彼の作るフレーズに影響を与えているのかもしれない。


宅録/DTMから始まったネットカルチャー発のアーティストではあるが、今年に入ってからライブ活動がさらに盛んになった。「What color are you?」という名前の自主企画を3回開催したほか、サーキット、フェス、対バンイベントなどへの出演を予定しているという。また、昨年の飛躍を鑑みて、Spotifyは彼を「Early Noise 2019」(=今年大きな飛躍が期待される新進気鋭の国内アーティスト10組)のうちの1組に選出した。「Early Noise 2019」に選出されたアーティストは、今後1年を通じてプレイリストを始めとする様々な方法で国内外の音楽ファンに積極的に紹介されていくのだという。

つまり、秋山黄色の活動が本格化していくなか、オンライン/オフラインの口コミ(拡散)を通じてその存在がさらに広まっていくことになるのでは、と考えられる。まだ彼の楽曲を聴いたことがないという人は、この機会に聴いてみてはいかがだろうか。(蜂須賀ちなみ)
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