【知りたい】なぜ向井太一というシンガーソングライターは軽やかにあらゆる境界を越えるのか?

【知りたい】なぜ向井太一というシンガーソングライターは軽やかにあらゆる境界を越えるのか?
1992年生まれ、福岡出身のシンガーソングライター・向井太一。地元の音楽高校を卒業後に上京。しばらくはバンドでボーカルとして活動していたが、「柔軟に音楽の幅を広げる為」という理由でソロ活動をスタートさせた彼は、以降、様々なアーティストとともに制作を行ってきた。家族の影響で幼少期から聴いていたというブラックミュージックを主軸としたサウンドは、エレクトロ、オルタナティブ、90’s歌謡にまで裾野を広げる。その都会的なサウンドに対し、(アルバム/EPごとのコンセプトにもよるが)歌詞は端的に言うと内省的。主人公が自問自答したり足掻いたりしていることが多いのも気になるポイントだ。

先鋭的な表現を目指す向井のスタイルは、タイムラグなしで作品を発表することのできるインターネットと非常に相性が良い。SoundCloudに楽曲を継続的にアップしていたのが関係者の目に留まったことがきっかけとなり、2016年、TOY’S FACTORYが設立した新レーベル「MIYA TERRACE」の最初の所属アーティストとなった。因みに制作ペースの早さは今でも健在。例えば最近で言うと、9月26日にTVアニメ『風が強く吹いている』EDテーマである“リセット”が、そして10月2日には台湾のシンガー・吳卓源 Julia Wuとのコラボソング“Rendezvous”が、そしてその翌日10月3日にはユニバーサルミュージックによるHIPHOP/R&B名曲リバイバル企画の一環である“Rock Wit'cha”(Bobby Brownカバー)の配信がスタートした。すべてが自作曲ではないにせよ、1週間に3曲も新曲が公開されるなんて驚異的なペースだ。

彼の所属する「MIYA TERRACE」は、「自由で独創的なスタンスとアクティブな発想からクリエイションするボーダレスで健全な音楽を発信したい」という想いのもと設立されたそうだが、これはまさに向井の活動そのものにも通ずるテーマである。冒頭に触れたようにサウンド自体がジャンルレスであるほか、そもそも彼はミュージシャンだけでなく、ファッションモデルとしても活動しているのだ。例えば2nd EP『24』のリリースパーティーに出演した呂布の所属するKANDYTOWN、“ZEN”、“TOUCH”のMVを手掛けたdutch_tokyo(山田健人)の所属するyahyel、そして以前本サイトで取り上げたKing Gnuに代表されるように、向井と同じ90年代前半生まれのアーティストにはマルチに活躍する人も多い。音楽以外にも意識を張り巡らせ、一連のクリエイティブとして捉えるような視点を持っていることが彼らの共通項である。

そんな向井太一は11月28日、2ndフルアルバム『PURE』をリリースする。「蔦谷好位置、☆Taku Takahashi、tofubeats、mabanua、高橋海(LUCKY TAPES)、CELSIOR COUPE、grooveman Spotらが参加」という前情報、そしてこれまでとは異なる雰囲気のアートワークを見る限りだと、そのボーダーレス具合に拍車がかかるような内容になっているのでは?と想像することができるが、果たしてどのような作品になっているのだろうか。

先行シングル曲“Crazy”、“リセット”は現在配信中。さらに10月24日からは先行配信シングル第3弾として“Pure (Co-Produced by 高橋海)”の配信がスタートするという。(蜂須賀ちなみ)

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