【知りたい】女優・満島ひかりの「表現力」はなぜ今、ミュージックシーンから求められるのか?

【知りたい】女優・満島ひかりの「表現力」はなぜ今、ミュージックシーンから求められるのか? - 『群青』『群青』
抜群の演技力と際立つ存在感で、今最も高い評価を得ている女優のひとり、満島ひかり。その満島ひかりが、このところ、ミュージックシーンでもその表現力の高さを存分に発揮している。まずは14年ぶりのアルバムリリースで話題を呼んだMONDO GROSSO。そのアルバム『何度でも新しく生まれる』からの先行曲“ラビリンス”にボーカルとして参加。不思議な浮遊感を漂わせる歌声で、見事に楽曲の世界観を表現した。MVにも満島自身が登場し、香港の混沌とした夜を軽やかに踊り歩き、オリエンタルで幻想的な楽曲の魅力をさらに印象付けていく。MONDO GROSSOの満を持しての再始動曲に、満島ひかりの歌唱を求めた大沢伸一の慧眼も素晴らしいが、何よりそれに応える満島のこの表現力である。満島は「FUJI ROCK FESTIVAL '17」のMONDO GROSSOのステージにも登場し、ライブで“ラビリンス”を初披露。会場中の凄まじい熱気が、この楽曲への評価を表していた。


さらには、Charaのニューアルバム『Sympathy』に収録されている“Tiny Dancer”のMVへの出演も話題となった。この楽曲は岸田繁(くるり)が作曲&サウンドプロデュースを手掛けたことでも注目を集めているが、山田智和監督たっての願いで、この楽曲のMV制作が実現。満島への出演オファーも監督の熱い思いがあってのことだったという。彼女は、楽曲の世界を体全体で受け止めるかのように、その表情と仕草や動きで、様々な感情を表現してみせた。まるで映画1本分のストーリーがCharaの歌に凝縮されて伝わるような、MVだからこその表現が素晴らしい。山田監督が、この歌に満島ひかりという女優を求めたくなる理由がよくわかる。


そんな彼女が主演を務める映画『海辺の生と死』が先日公開され、注目を集めている。満島は、その物語の舞台となった加計呂麻島の美しさに魅せられ「映画とはまた違ったアプローチで愛のものがたりを語りつぎたい」と、以前から親交のあったEGO-WRAPPIN’に楽曲制作をオファーした。そして自らの歌で、その切なく美しい遠い日の愛情物語を表現した。“群青”というタイトルがつけられた、打ち寄せる波のような清らかさと儚さを感じさせる歌声は、中納良恵(Vo)のコーラスとも美しいハーモニーを生み、静かに反復するリズムにいつまでも身を任せていたくなる。満島が映画で演じた戦時中の恋、そしてその景色が、今もそこに蘇るかのような柔らかなノスタルジーを滲ませる歌──記憶の奥深くに刻まれながら語り継がれていくような、満島ひかり×EGO-WRAPPIN’だからこそ生まれた、現代解釈の島唄とでも呼びたくなるようなタイムレスな歌だ。

EGO-WRAPPIN’のふたりは、実際に映画を鑑賞し、満島に加計呂麻島の話を聞いて制作をしたという。満島が、誰かにオファーを受けて歌を歌ったり、音楽に携わったり、ということではなく、自身が彼らのサウンドを求め、能動的に「歌」で表現したいと思ったということがとても興味深い。女優として目覚ましい活躍を遂げる以前に、もともとは小学生時代に参加したダンスボーカルユニットFolderで、抜群のリズム感と歌唱力を見せてくれていた満島ひかりである。表現の出自はそもそも音楽にあると言ってもいい。その彼女が、今また歌や音楽での表現を、自ら求めていて、想像以上に素晴らしい作品を生み出した。それがとても嬉しい。この“群青”は、9月には12インチのアナログ盤でのリリースも予定されている。この歌を聴けば、今後の満島ひかりの音楽活動が、ものすごく楽しみになるはずだ。すべての音楽ファン必聴の一曲。(杉浦美恵)

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