昨年のぴあアリーナMMワンマンが、構築的なアレンジの妙で圧倒していくスタイルだったとすれば、今回のアリーナツアーはもっとリラクシーでラフ。5人のポジションもぎゅっと固まり、いつも通りすぎるMCも相まって、代々木第一体育館なのにすぐそばで演奏してくれているような「近さ」があった。
特筆すべきは、とことんミドルテンポの楽曲に身を委ねさせた中盤の美しさ。“piraruku”では、寝入り端に見る夢現の世界が立ち上がり、“HAZE”では寒波に包まれた東京に、ふっと亜熱帯の空気が匂い立つ。2025年、初のホールツアーやインディーズ曲のリアレンジアルバム『Polyester (Custom Deluxe)』を通して培ってきた「余白」と「余韻」を生かした演奏がセットリストに奥行きを与え、それが“Fire Brain”や“Juden”での爆発的な張力へと転化していく──Kroiはこのアリーナツアーでまったく新しいライブの「見せ方」に到達していた。
次の舞台は、全国6都市10公演を巡る「Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE”」。アリーナまで広がったKroiの音楽が、ライブハウスという空間に再び凝縮されるとき、また新しい何かが観られる予感だけがする。(畑雄介)