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“ファジーネーブル”バズの勢いが止まらぬうちにリリースされた今作からは、ものすごく「ロックバンドらしさ」が感じられる。それは曲が尖っているとか荒々しくギターがかき鳴らされているなどという意味ではなく、楽曲はチャーミングで、アレンジやコーラスは緻密に構築されているのだが、それゆえにロックバンドならではのグルーヴが引き立っている。今の時代、PCさえあればどんな音でも付け加えて華やかにできるが、紬衣(Vo・G)のエモーショナルな歌声と、楓華(B・Cho)と彩楓(Dr・Cho)の双子のリズム隊の緩急といったストレートな技で、リスナーの心を躍らせ楽曲の物語へと引き込んでいく。別に3人の音以外は入れたくないと決めているわけでもないとのことだが、初々しい恋も愛おしい気持ちも孤独な夜も、3ピースというバンドの最小単位で煌めかせることができるのだと彼女たちは証明している。なんて逞しいバンドなんだと、繊細な楽曲とバンドの芯の強さのギャップに唸らされる。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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