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ソロデビュー20周年を飾る10枚目のフルアルバム。まず、速めのBPMに乗りひたすらラップしまくる最初の5曲が圧巻。ハードな質感のトラックも十二分に高級だが、それ以上にラップのあまりのスキルの高さに打ちのめされる。ここにきて「これまでになかった」が次々と繰り出されるフロウで、《この道 どこ行き 希望の炎が灯火》(“TradeMark”)という風に初のソロシングルの名を引用したキラーラインを歌うことで、妥協なく積んできたキャリアがあってこそ最強の現在があるのだということを顕示するのも強烈にかっこいい。“Project K Interlude”を挟み、7曲目からはメロウな楽曲が続く。コンセプトを設けず1曲入魂で作った楽曲を並べたというが、この構成は傑作『心臓』を連想せずにはいられない。最終曲にして本作の白眉“New Phase”で《わざわざ言っとく改まって/いまだ目指してる まだまだ上 上 上》と表明される通り、今後もKREVAは弛まず前進を続けるはず。ただ少なくとも、今日における彼の最高傑作は決したのではないか。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
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