【インタビュー】この人生に賭け続けるSUPER BEAVER、4人の告白──現在地からその先まで語る

【インタビュー】この人生に賭け続けるSUPER BEAVER、4人の告白──現在地からその先まで語る

2009年の『幸福軌道』から数えて通算10作目にして、メジャー再契約後4作目、そして20周年のアニバーサリーを経てリリースされる最初のフルアルバム。つまり、決して短くない歩みの先で生まれたいちばん新しいアルバムに、SUPER BEAVERは『人生』というタイトルをつけた。『アイラヴユー』や『東京』や『音楽』がそうであったように、今回も、彼らがたくさんの曲を作り、ライブをやる中で、自然と浮かび上がってきた言葉だ。ではなぜ『人生』だったのか。バンドとして、個人として、あるいはこのアルバムを受け取る人にとって──もちろんこのタイトルにはさまざまな意味が重なっている。しかし誰にとってのどんな人生であったとしても、結局は一人ひとりが自分の意思で選び取っていくほかはない。このアルバムが歌うのはそういうことだ。“主人公”も“クライマックス”も“生きがい”も、ロマンでも理想でもない、ひたすらにシビアな人生の「選択」の話なのだ。それはつまり、この20周年の熱狂の中で、彼らが改めてそれを迫られていたということの証なのではないかと思う。映画『SUPER BEAVER LIVE & DOCUMENTARY -現在地-』を観れば明らかなように、SUPER BEAVERは今、たくさんの課題と向き合いながら、いっそうシビアに自分たちのいる場所とあるべき姿を考えている。バンドと自分自身の人生を、どの方向に、どのように進めていくかという命題に、徹底的に向き合っている。アルバムのラストを飾る“告白”は、まさにそういう曲だ。4つの人生と、SUPER BEAVERという共同体が今どのように重なり合っているのか。ROCKIN’ON JAPAN 2026年8月号に掲載した4人のソロインタビューをダイジェスト版でお届けする。インタビュー=小川智宏 撮影=鳥居洋介

【インタビュー】この人生に賭け続けるSUPER BEAVER、4人の告白──現在地からその先まで語る

Interview 01 上杉研太(B)

4人でやらなくても音楽はできる。でもこの4人で音楽をやっているっていうことを、改めて今考えてる


──映画『現在地』の中で、ぶーやんとメンバーで喉の話をしたときに、リーダーが初めて彼から「ありがとう」って言われたってシーンが印象的で。バンドの関係性も少しずつ変わってきているのかなと感じたんですよ。上杉 そんなこと言うぐらい参ってたんだなと思いましたね。彼自身、周りに気を遣いすぎるぐらい気を遣ってる。でもそれが逆に足かせになることもあるから、もっと自由にやっていいとも思うんです。彼がそうなってくれることは、自ずとすべてのメンバーに返ってくると思うし、何より本人がやりたいことや思っていることは常に尊重して、すり合わせていくものだと思うから。──これだけバンドが大きくなる中で、瞬発力だけでは走りきれないから誰かが何かを負って、何かを諦めたり押し殺したりしながら、なんとか全員で前に進めていくっていう作業をSUPER BEAVERは必然的にやっていたけど、20周年イヤーはそういう部分が顕在化した時期でもあったんだなって思いましたね。上杉 そうですね。ある種、再構築のときが今来ている気がする。もちろんそれで何かが崩れないようにやっていくことは大事なんですけど、崩れないようにやっていった結果、作り上げた構造物がハリボテ的なものであったり、ガタガタのものであれば、常に自転車操業になってしまうというか。だからこそ、壊さないためにリペアするときなのかなと思います。──そういう時期をどういうスタンスで向き合っていたの?上杉 無駄話をしたほうがいいなって。会話をしたほうがいい。話せばわかることすら話さなくなっていくから。もともと常日頃一緒にいるようなコミュニティの4人ではなくて、音楽で通じ合っているというか。学生時代が一緒っていうのはありましたけど、プライベートまでみんなで一緒に遊んでますとか、そういうことではない。でも、毎日のようにSUPER BEAVERとして会ってるわけじゃないですか。忙しくなって、各々がプロフェッショナルとして必要最低限の動きをし始めると、無駄話とかで何かを養っていくことが必要になってくる。そこで養ったものが、ピンチが起きたときに救ってくれる何かになる。それがなくなってしまったら、なんのためにやってんだろうとか、始まりがこうだったのになんで今こんな状態になってるんだろう、みたいなことになりかねないと思うんです。だから会話を増やすべきだけど、そこが難しくて。みんなの意思もありますし、タイミングもあるし。──そうですよね。上杉 でもだからこそ、いちばんできることと、重要なことは、音楽を鳴らすことなんだっていう。この4人は音楽でつながっているところがあると思うので。もやっとしたことがあったり、不安なことがあったり、困ったことがあっても、ライブをしたらクリアになっていく瞬間がすごくある。だから、もう1回やっていくぞっていう気持ちを持ったまま、またツアーに出て、そのツアーで探し続けるっていうのは、リアリティがある気がします。──『人生』というアルバムの中でひとつ貫かれているものがあるとすれば、「人生は自分の意思で選んでいくことだ」ってことだと思うんです。でもそれって自然の摂理に反している部分もあって。歳を重ねるといろんな選択肢や可能性が減って、消去法で人生の道を選ぶ思考になっていきがちだけど、そうなったらSUPER BEAVERも続かないだろうっていう危機感が4人の中にあったんじゃないかなって思ったんですよね。上杉 バンドによっては10代の頃の爆発力だけでやって、3年間ぐらいしか成立しないバンドもいるじゃないですか。同じやり方で30代後半もできるかといったらできないんですよね。だから20代で解散する。それは必然でもあるし、美しいと思うんです。でも、なんでビーバーは20年続いているかって言ったら、曲も一緒に歳を取っていて、その感覚があるから続いてる。今の自分が、曲の芯の部分に本当の意味で共感できたり感動できたり、背負うことができない限り、たぶんやれないんですよ。重要なのは、4人が今投げている音楽というボールに、ちゃんと共感して感動して、「これだ」って思えてるかどうかで。投げた先でどう思われるかはそのあとの話だと思う。──大人になればなるほど、それぞれの生活があって、価値観も違ってくる。その中でSUPER BEAVERとして意思を保ち続けるってめちゃくちゃタフなことだと思うんだけど、どう向き合ってたんですか?上杉 お互いあんまり言わないことで、1個のラインを保ち続けてきたところはあると思うんですよ。ただ今は、そこの中まで入って構築し直す時期ではあると思っていて。こうやって規模感が上がってきて、ありがたいことにドームも売り切れるという中で、俺たちが改めて100人ぐらいのライブハウスに4人の意思を持っていけるようになることが重要な気がする。傍から見たらやる意味ないって言う人のほうが多くなってくると思うけど、そこに意味が絶対ある。押し通してまでやるっていう気持ちを持てるか持てないかっていうのがいちばん重要で。みんなずっと走り続けてきて、改めて「俺ってなんなんだろう」とか「ビーバーって何をしたいんだろう」って、それぞれ考えてると思うんですよね。その先に何があるのかはここから見つけていくことだけど、損得を度外視した、自分たちの燃え上がるような気持ちみたいなものがバンドにはあると思うから、それを今一度再確認するっていうか。だからいちばん苦しい時期に突入してると思いますよ。でもそれは、ここまでで得たものがそれだけ大きいっていうことなんでしょうって解釈を自分はしてます。──最後の曲“告白”もすごくでかいなと思って。上杉 そうですね。まさに「告白」だなと思いました。なんか⋯⋯頑張ろうって思いましたね。頑張らなきゃなと思ったし、救われたとも思ったし、ちゃんと踏ん張ってるなと思った。ヤナギには感謝してます。しかも、こういう話を普段しなくなっている中で、曲として、デモとしてそれを聴くって、それはぐっと来ちゃうよねって。だから転機になるし、今後続いていくとしても、これは忘れない1曲になっていくと思いますね。──俺はこの曲はヤナギからの「俺はこういうふうに思っていて、だからバンドを続けていこうと思ってるよ、じゃあおまえはどうだ?」っていう問いかけだと思ったんです。上杉 うん、そうだと思う。──それに対して今、自分がSUPER BEAVERをやり続ける理由ってどこにあると思う?上杉 そうだな⋯⋯改めて4人でやっていることと、その一人ひとりをもっと見ていくことがしたいって思うんです。バンドとしてっていうより、何が4人でやっていることなんだろうって。音楽っていろいろあるじゃないですか。別に4人でやらなくても音楽はできる。でもこの4人で音楽をやっているっていうことを、改めて今考えてる。今の質問って、「生まれてきた意味ってなんだと思いますか?」みたいなことで、ずっと生きながら探していくものだと思うんです。その人が隠していた部分とか、それ本気で思ってるの?とか、本音はどうなの?とか、あのときは言えなかったそういったところを、ここからは話していこうよって。そうなれればもっと続いていくのかなって。今後のSUPER BEAVERは、その先にあるものを見つけようとしているんじゃないかな。
【インタビュー】この人生に賭け続けるSUPER BEAVER、4人の告白──現在地からその先まで語る

Interview 02 柳澤亮太(G)

できるだけ長く生きたバンドでありたい。自分が自分であり続けるために、このバンドとかこの音楽がやっぱり必要だってすごく感じてる


──『人生』を聴いて、主体のあり方が変わってきた感じがして。いろんな考え方の人がいることを一個一個ちゃんと見つめて、だからすごく丁寧な歌詞になるっていうのがSUPER BEAVERの曲の美しさなんだけど、そのうえでもう1回「自分で何を選ぶか」をヤナギが考え始めた感じがするんですよ。柳沢 「俺はこう思う」って、今一度言おうとしているのかな。もう大人ですから、世間に対してってほど大げさではないけど、やっぱり思うこともあるし、風潮に対する苛立ちもあるし。純粋に自分が置いていかれてる可能性もあるじゃないですか。価値観という意味で世間とのズレみたいなものが生じ始める年齢に差し掛かってきたとも思うから。あとは20年というのを見つめたのもすごく大きかったと思う。結局どこまでいっても「自分である」ということを特に近年、考えているかもしれない。なかなか想像しづらいけど、生まれ落ちた国が違えばとか、生まれた家庭が違ったらどうだったんだっていうのはいっぱいあって。でもどこまでいっても、最後の選択はやっぱり個人にしかないんじゃないかってすごく思うというか、その前提を理解したうえであらゆる曲を書いてる。でもそれは俺たちができているということじゃなくて、俺たちも日々そういうことを常に考え続けている。どうありたいか、どうあれるだろうか、なぜ俺はこれができないのかとか、それと向き合い続けて生きているという、ただそれだけの話なんです。──ヤナギにとって生きるってそういうことだし、そういう人生を自分で選ぶんだという意思が、もう一度燃え上がってるような感じがするんだよね。柳沢 できるだけ長くバンドを続けていたいというか、生きたバンドでありたいんですよね。常にアクティブにというか、去年と同じように、一昨年と同じように、今年も、来年も再来年もやるっていう。求められなくなることへの恐怖っていうのは今日だってずっとあるけど、バンドをやってる時間がいちばん幸せだし、楽しいからそうはなりたくない。自分が自分であり続けるために、このバンドとかこの音楽がやっぱり必要だってすごく感じているから、それが少しでも長く続くように、今できることを全力でやりたいと思ってる。──歳を取っていくということは、究極的には「こうじゃなかったかもしれない」という道が消えていくことだと思うんですよ。でも、このアルバムでSUPER BEAVERが歌おうとしていることはそうじゃない。その道を自分で選んだって、ちゃんと自分で言えるようにしろよっていうことだと思うんです。柳沢 ああ、そうですね。正直、ちょっと臆病な部分もあると思うんですよね。俺、東京生まれ東京育ちで、まず上京を経験してないでしょ? で、就職活動も転職も経験してないでしょ? これ、そのままの意味で伝わるかわかんないですけど、人生を変えたためしがないんです。それができる人──たとえば第二の人生をアメリカで始めましたとかっていう人がいるじゃないですか。その勇気ってものすごいなと思うんです。俺はやったことがないし、今想像してもそこに立ち向かえる気がしない。だからこそ、俺は「これ」をちゃんと存在させ続けたいと思っている気がする。もがき続ける対象がないと、なんのために生きてるんだっけみたいになっちゃうタイプだから、それをずっと存在させたくて必死になってるところはたぶんあると思う。自分のアイデンティティというか、俺が俺である所以みたいなものもこのバンドとともに培ってきた部分がほとんどだと思うから、他の選択肢が浮かばない。──最近ヤナギは「今までの20年と同じようにこれから先の20年はできない」ってよく言うけど、それを言うことの怖さもあるじゃないですか。柳沢 すっごいバカみたいなことを言いますけど、やっぱり年々、死ぬって本当に怖いなって思うんです。──曲でもそう書いてたしね。たとえば今回、ぶーやんの喉の件もあって⋯⋯言い方が難しいんだけど、終わりがあるかもしれないということをまざまざと見せつけられる瞬間だった気もするんです。柳沢 うん──だからこそ、今もう一度「なぜSUPER BEAVERであることを選ぶのか」「これを続けていくのか」ということを問い直しているわけですよね。“告白”というのはそういう曲だと思う。柳沢 いい節目をいただいたなって感じがでかかったんですよね。結成20周年みたいなことをすごくやってもらったし、だから単純にそういうことを考えたっていうか。たとえば夫婦だったり、恋人同士だったり、仕事でもなんでも、いろいろな関係性について今一度考えられるような曲になったらいいなって思っていました。もちろんバンドの歌とも呼べるけど、それだけじゃなく置き換えてもらえる曲になったらいいなって。──でも、メンバーはすごくバンドのこととして受け取ったはずだよね。柳沢 まあ、そうでしょうねえ。──メンバーに渡したときの感覚っていうのはどうでした?柳沢 いやー、どうだったっけね。普通に「いいね」っていう感じ。なんか難しいよね。こういうのに関してどうこう言うところの照れもきっとあると思うし、もっと言うと「いや、この曲は」って言う権利だってみんなにあると思うし。──だから“告白”なわけじゃん。それをどう感じるかは向こう側の話だから。俺はこう伝えるけど、それにイエスなのかノーなのかっていうのは受け取った側が決めないといけない。柳沢 この曲は独白的な意味もすごくあって、「俺は、俺たちはこうだと思う」ということを言いたかったっていうのもあるし、結果そのためには書きたくないと思いながらも、映画で「変わったのか、変わってないのか」みたいなことを問われたからそういうことも書いたし、いろんな気持ちがない混ぜになりながら作った曲ではあった。──このアルバムは “希望”という曲で《岐路に立っている》ってことを繰り返し歌って始まって、最終的に“告白”で「これを長く続けていくんだ」っていうことを俺は選ぶと言って終わる。つまり、岐路に立って選んだ結果がこれなんだってちゃんと示したかったんだと思うんだよね。柳沢 うん。この曲、歌詞に「希望」っていう言葉は出ないのに、なぜそのタイトルでいいって思ったかというと、あらゆる曲で「人生」と同じぐらい「希望」っていう言葉もあって。人生は選択の連続であり、それは突き詰めたら、やるかやらぬか、生きるか死ぬかっていうことの連続で、そういうことを悩み、思考し、もがいているそのタイミング、その行為こそを「希望」と呼ぶのではないだろうかって思って。一見選択肢がないように見える中でも、糸口を探してもがく、まだ死ぬまいと抗う、そこにこそ希望があり、それを選んだのは自分であるというか。一見前に向いてないような瞬間も、なんとか前に向かそうとする時間を「希望」と呼ぶのだっていうことは、一貫して今回のアルバムの中で感じたことだった。──自分で選んでいくことが希望だし、最終的に歌い続けることを選んでいく“告白”を作ったことによって、SUPER BEAVERをやるっていうこと自体が希望になったっていうふうにも読めるよね。柳沢 そうそう。決定されている事項がないっていうことは、すなわち希望があるってことでもあるというふうに捉えているっていう。不確定というものを不安とか恐怖とも呼ぶけど、確定しているほうが実は恐怖なんじゃないかって考えてるから、こういうアルバムになったんだと思う。聴いてくれる人が自分の人生に、今向き合っているものと置かれている状況に、どんどんこじつけられるものがあったらこじつけて、それを追い風にしてもらえたらいいなって。
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