大晦日のオーディエンスのハンパじゃない気合いの中、登場したのはthe band apartの4人。まずは木暮栄一（Dr）のドラム、心を沸きたてるような荒井岳史（Vo&G）のギターと歌による“photograph”で、静から動への躍動感に満ちた、ドラマティックな幕開けだ。うっとりと身を任せられる４人の一体感のあるアンサンブルは、やっぱり最高。続く“I love you Wasted Junks & Greens”ではベースを弾きながら音の波に乗ってステージを動き回る原昌和（B&Cho）が重ねるコーラス・ワークも心地良い。クールで涼やかな表情なのに、熱く緻密なプレイはさすが。そして、ゆったりとしたリズムに乗る日本語詞が美しい“ダンシング・ジナ”を終え、荒井がMC。「今日は呼んでいただいてありがとうございます。俺たちには似合わないくらい大きなステージだけど。今日は楽しんで帰ってください、ありがとう！」、という清々しく謙虚すぎるコメントの後、ボソボソと喋り始める原。「年末だからほんとなら汁粉とか猛烈な勢いで飲み狂いながらね……」とか「でもまあ俺もテレビの前でベース弾いてるようなもんだよ」など、彼らしいユーモアに溢れたMCが披露される。
“higher”では軽やかなギターのカッティングと徐々に上昇したグルーヴの先で描かれる柔らかな祝祭空間が、フロアいっぱいに豊かに降り注ぐ。原がゴキゲンな表情で演奏するのがヴィジョンに映し出された“amplified my sign”ではジェントルなビートとハーモニーにより心地良さが惜しみなく増量！ 終盤、“Eric.W”ではみんなの歌声が聴こえ、ふんわりとしたメロディに乗って大きなジャンプの波が揺れた。イェイイェイイェーイ！と騒いで歌い合った後はラストの“Mercury Lamp”へ。優しい歌声が音と絡み合いグルーヴとなり、やがて大きな喜びと生命力を生む。来年もこんな彼らの音楽が日常の傍らにあってほしいと強く思った。（上野三樹）
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